福島とチェルノブイリの小児甲状腺がん比較
「福島の子どもの甲状腺がんの発生割合はチェルノブイリ並みあるいは以上となる予兆と見える」と書いたことについて、トーナス氏から以下のコメントをもらった。

予兆と見えない論拠として、主にふたつ。
① 甲状腺がん発生の年齢構成が対照群の中で若年側に偏らず、むしろ高年側に偏っている。
② 線量との相関関係が見られない。
放射線に起因して甲状腺がんが発生したのであれば、放射線感度が高い若年側に偏るはずですし、線量の高いところで発症頻度が高くなるはずです。しかし、結果はそうなっておりません。

①について、チェルノブイリの小児甲状腺がんの年齢構成がUNSCEAR 資料にあった。
チェルノブイリ甲状腺がん年齢構成
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/8f528f1ba931ac9319790c56307fa17a
UNSCEAR 2000 report - Vol. II: Effects
http://www.unscear.org/unscear/en/publications/2000_2.html
Annex J: Exposures and effects of the Chernobyl accident (115 pages)
pp.498-499 より

事故後1-3年では、5~9歳、10~14歳に偏っており、激増する5年目から若年側に偏る。
従って、福島で見つかっている甲状腺がんが、年齢構成の点から事故由来ではないと主張する根拠にはならないと考える。その他の論争点は、福島とチェルノブイリの小児甲状腺がん比較 のコメント欄を見てください。

原発事故による放射能汚染と健康影響について
2013.10.25 原発ゼロを目指す会学習会講演資料
に新しい情報を加えて掲載しました。
2013.11.24 Sun l 福島甲状腺がん l コメント (1) トラックバック (0) l top
原発即時ゼロを主張する小泉元首相の日本記者クラブでの会見が報道されている。
週刊誌では概ね小泉氏にエールを送っているものが目に付いた。見出しだけを列挙

「原発即ゼロ」正しいのは安倍ではなく小泉
全国民必読 本当に現実的なのはどっちなのか考えてみた
週刊現代 2013.11.30号 

原発は今すぐゼロに 小泉元首相が描く日本の未来緊急シミュレーション
女性自身 2013.12.3号

小泉純一郎「原発ゼロ」全発言 反対は自民党だけだ
新聞・テレビのダイジェストでは絶対わからない「べらんめぇ独演会」の一部始終
週刊ポスト 2013.11.29号

小泉純一郎「 日本人ならできる!」
戦争の連続だった明治時代、昭和の敗戦、オイルショック・・・これまで日本人は
どんな困難にそうぐうしても決して挫けず、変化に対応してきた。今こそ「原発ゼロ」
に踏み出せば、その先には新しい日本が待っている。
元総理が全国民にお届けする熱きメッセージ。 独白80分全文掲載
プレジデント 2013.12.16号
2013.11.19 Tue l 脱原発・エネルギー政策 l コメント (0) トラックバック (0) l top
朝日記事より転載
原発「即ゼロ」首相に迫る 小泉元首相会見「決断すればできる」
2013年11月13日

小泉発言、政権を挑発 原発ゼロ―決断の環境「郵政よりいい」 記者会見
2013年11月13日
2013.11.14 Thu l 脱原発・エネルギー政策 l コメント (0) トラックバック (0) l top
(プロメテウスの罠)医師、前線へ:より
長崎大教授の山下俊一(61)が福島入りした経緯

 2011年3月14日朝、県立医大内で放射線の危険性を話せる人物の人選を始めた。職員の放射能への恐怖心が強かったためだ。

 乳腺・内分泌・甲状腺外科教授の鈴木真一に意見を求めると、鈴木は山下を推した。ほかの医師も山下の名をあげたため、決めた。
 「福島に来て、みんなに正しい科学的知識を提示してくれないか」
福島県知事の依頼を受けた上で長崎大は正式に山下を派遣した。

 大阪空港経由で山下が福島に入ったのは18日午後。午後6時からの県立医大の職員向け講演会に登壇した。同僚教授の松田尚樹(56)、高村昇(たかむらのぼる)(45)も一緒だった。
 大会議室で行われたこの講演会には300人の職員が集まった。
 山下氏の話の要点は安定ヨウ素剤が必要か否か。山下はチェルノブイリ事故も例に出し、不要論を展開した。
2013.11.09 Sat l 福島甲状腺がん l コメント (0) トラックバック (0) l top
福島の小児甲状腺がん発見割合 チェルノブイリを越える?
において、福島県健康調査の子どもの甲状腺がん確定数18人、疑いを含めて43人であったことを取り上げた。
2013.7.30現在

福島の住民被曝「健康に影響ない」 国連科学委の見解
の記事に対して、次のコメントをいただいた。

100万人に1~3人は、年間発症率です。
自覚症状のない子供の集団を精度の高い機器を用いて検査したわけですから、
「通常」よりも多く発見されるのが正常です。 
他県の検査結果と比べても、異常はないです。
チェルノブイリの例を見ても、2年や2年半では増加していません。

これはその通りであろう。しかし福島の甲状腺検査結果は安心できるものか?再考する。
甲状腺がん確定者数(手術済)はH23/H24/合計 で 9人/9人/18人
疑いのあるものを含めると43人となっている。

実はチェルノブイリにおいても、チェルノブイリ笹川プロジェクトが1991年5月から1996年4月までの5年間で現地周辺12万人の調査解析を終了し、その検診結果が報告されている。
チェルノブイリ原発事故後の健康問題
被爆体験を踏まえた我が国の役割
-唯一の原子爆弾被災医科大学からの国際被ばく者医療協力-
平成12年2月29日長崎大学山下俊一
この調査が行われた時期は、チェルノブイリ原発事故から5-9年後の1991-1996年
甲状腺がんが急増した時期であった。福島原発事故後1-2年の調査と比較する。
ベラルーシ小児癌登録数a

山下氏らによる調査の特徴は、
①放射線感受性の高い子供(事故当時0-10歳)を対象とした健康調査
②同一診断基準と統一された検診を用いて、甲状腺と血液異常の診断に主眼をおく
③チェルノブイリ周辺では事故当時20歳以下の人工構成は100万人
ベラルーシ共和国ゴメリ州、モギュロフ州、ロシア連邦ではブリヤンスク州、ウクライナ共和国、キエフ州、ジトミール州で行われた。
すべての対象者には、甲状腺超音波画像診断、血液学検査・・・が行われ、異常者は二次スクリーニングで超音波診断の再検査と、エコー下吸引穿刺針生検と細胞診が施行された。
ということで、福島県の健康調査と同じレベルのものであろう。

福島・チェルノブイリの調査地区の放射能汚染を比較すると、高汚染ゴメリ州を除いて
福島と同程度あるいは低い地域と見える。
福島・チェルノブイリ・放射能汚染比較
松崎道幸医師の「福島県県民健康管理調査結果に対する見解」より

チェルノブイリと福島の精密な甲状腺検査の結果のうち、小児甲状腺がんの割合を比較する。
①チェルノブイリ事故後5-9年の汚染3共和国の平均値は、5人/1万人のがん
高汚染のゴメリは 20人/1万人 その他4地域は 1-4人/1万人 (青欄)

②福島県調査は事故後1-2年、チェルノブイリではわずかに増え始めた時期
がん確定者の割合は  1-2人/1万人
がん疑いを含めた場合 2-3人/1万人
二次検査未了者を考慮すると 4人/1万人 (黄欄)

最近の発表 子の甲状腺がん、疑い含め59人 福島県は被曝影響否定 
2013年11月13日朝日新聞 によると

福島原発事故の発生当時に18歳以下だった子どもの甲状腺検査で
検査を受けた22・6万人のうち、計59人で甲状腺がんやその疑いありと診断された。
27人手術して26人が癌、1人が良性、疑いがあって手術していない人33人という数は
100万人当たり2-3人といわれていた発病数からは考えられないほど多い。
高精度の検査で発見されたものであることを考慮しても。

小児甲状腺がん確定のみで10万人に12人、1万人に1.2人。
チェルノブイリ事故1-2年後に甲状腺がんが発生し始めた傾向と比較しても、
バックグラウンドでこのような小児甲状腺がんがあることが異常、調査範囲を広げて、
事故前の原発の影響が考えられないかなど、検証する必要があると思う。
 
福島チェルノブイリ甲状腺がん調比較

①②を比較し、調査が①ではがん発生急増期で、発病数が事故1-2年後の10倍になっていること ②福島はがん発生初期であることを考えると
福島の子どもの甲状腺がんの発生割合はがんが多発するという5年以降を継続的に注視すべきである。
汚染地域を比較すると、国連人権理事会特別報告で指摘するように、福島県のみの検査は不十分、放射能ブルームが広がった広い地域に広げる必要がある。

チェルノブイリと福島の小児甲状腺がん検査比較
ウクライナ汚染地域(5ミリシーベルト/年)の事故当時14歳以下の子どもたちの
10万人当たりの発病数の推移を示す。
低線量汚染地域からの報告 チェルノブイリ26年後の健康被害 NHK出版より
グラフに記したチェルノブイリ事故後5-9年、福島事故後1-2年の自覚症状のない子どもの検査で発見された甲状腺がん発生割合は、発病割合と比較すると10倍ほどとなっている。
しかし、チェルノブイリと福島の同レベルの甲状腺がん検査によるがん発生割合は、がん発生急増期と事故後1-2年の差を考えると、福島のがん確定数は非常に多い。福島の経過を注意深く見守り、検査体制を質量とも充実することが急務。

グラフから読み取れるように、放射能被爆の影響は事故後26年を経て、甲状腺がんについてもまだ拡大し続けているのであるから。


参考リンク
------------------------------------------------------
福島の小児甲状腺がん多発 チェルノブイリを越える
福島・甲状腺ガンと疑いが44例!
福島の子どもたちにチェルノブイリの高レベル汚染地帯並みの甲状腺がん!
規制庁が甲状腺検査を規制?IAEAと一体となった「被害抹消作戦」を許さない! 

避難指示解除区域帰還者に線量計配布
高線量放射線による障害 原発事故が一歩進めば
2013.11.05 Tue l 福島甲状腺がん l コメント (10) トラックバック (0) l top