(論壇時評)戦争の傷痕 すべて解決済みなのか 作家・高橋源一郎
2014年1月30日朝日新聞 より転載

 安倍晋三総理大臣が去年の暮れ、現役総理としては7年ぶりに靖国を参拝し、大きな波紋を呼んだ。それから、ほんの少し前、新たにNHKの会長になった人が、「従軍慰安婦はどこの国にもあった。解決した話なのに、韓国はなぜ蒸し返すのか」と発言し〈1〉、これもまた大きな問題になろうとしている。

 
2014.01.31 Fri l 歴史認識・外交 l コメント (0) トラックバック (0) l top
わが安倍首相は世界の注目を浴びている。
ダボス会議の海外の記者との懇談の際
「日本と中国の関係が戦争に発展する可能性があるのではないか」との質問に
「第1次大戦前、英独は大きな経済関係にあったにもかかわらず第1次大戦に至った」と答えたという。
「Yes,日本と中国の関係が戦争に発展する可能性がある」と答えたことになる。
靖国参拝、尖閣・竹島を日本固有の領土で領有権問題は存在しないと教科書を改訂するなど、近隣諸国との平和共存を放棄して、周辺・遠方諸国との関係強化を目指す安倍積極的平和主義??
日本を取り戻すという安倍首相、「国際連盟を脱退して孤立化から世界大戦に突入した」歴史を繰り返して、アジアを発端とする世界大戦になってもやむなしと考えているのではないか?
国際感覚・常識ゼロの安倍外交が、支持されるのは国内のみという危険水域に入ってきた。


安倍首相はダボスで何を言ったのか?
Newsweek Japan プリンストン発 日本/アメリカ 新時代 by令泉彰彦 
2014年01月28日 より引用紹介

 安倍首相はスイスのダボス会議の席上で、海外の記者との懇談の際に、英記者から
「日本と中国の関係が戦争(war)に発展する可能性があるのではないか」
と問われたところ、
「今年は第1次大戦から100年を迎える年。当時、英独は大きな経済関係にあったにもかかわらず第1次大戦に至った歴史的経緯があった」
と説明した。

「第一次大戦で甚大な被害を受けたヨーロッパのど真ん中」で、特に「その大戦を繰り返さないために国際連盟を設置したスイスという国」で、しかもその「国際連盟の常任理事国でありながら自身が脱退することで連盟を事実上潰して再度の世界大戦を戦うことになった」日本の、その「戦前の歴史の名誉回復」に熱心な首相が、「第一次大戦の100周年」というセンシティブな時期にこうした発言をするというのは、日本を「再度孤立化へ」向かわせる自爆行為だと言ってもおかしくないと思います。

 
2014.01.30 Thu l 歴史認識・外交 l コメント (0) トラックバック (0) l top
「尖閣・竹島は領土」明記を検討 文科省、教科書指針に
2014年1月11日 朝日新聞

 中学・高校向け教科書の編集や指導の指針となる学習指導要領の解説書に、尖閣諸島と竹島を領土と明記する改定を文部科学省が検討していることが分かった。領土に関する教育を強めたい自民党などの意向が背景にある。2014年度にある中学向け教科書検定から適用させたい考えだ。

☆現状
 解説書は現在、中学社会科の地理的分野で北方領土と竹島に関する指導について記述。竹島に関しては、「韓国との間に竹島をめぐって主張に相違があること」などに触れる必要性を示している。一方、高校地理では「中学の学習を踏まえ、わが国の正当な主張に基づいて的確に扱う」などとしているが、竹島とは明記していない。尖閣諸島については、中学、高校いずれにも記述されていない。

☆変更
 検討中の案では、中学の地理的分野で、新たに尖閣も加えて「わが国固有の領土」と明記。尖閣に関しては「領有権問題は存在しないことを理解させる」などと記述する。中学の歴史や公民的分野、高校の日本史でも説明する方針だ。

2者を比べるとこの変更は、領土問題についての宣戦布告である。お隣の韓国、中国との間に領有権について意見の相違があるにもかかわらず、「領有権問題は存在しない」という理解をさせたら、今後若者が領土の問題を当事国間で話し合うことが不可能にしてしまう。自国が正しくそれを認めない国は敵国と思うことが愛国心であれば、日本を取り巻く東アジアには平和がなくなり、戦争に向かうということではないか。

特定秘密保護法案、国家安全保障会議設置法、また国会に上程される予定の国家安全保障基本法の三位一体で、戦争への傾斜を強める安倍政権の、戦争準備となる教育変更であろう。領土問題は一番国民感情を煽り、嫌中国・嫌韓国感情を起こさせるテーマであるから。
2014.01.20 Mon l 歴史認識・外交 l コメント (0) トラックバック (0) l top
天皇陛下は80歳の誕生日を迎え、記者会見で述べられたこと
これまで最も印象に残っていることに「先の戦争」を挙げ、「前途に様々な夢を持って生きていた多くの人々が、若くして命を失ったことを思うと本当に痛ましい限りです」

戦後復興の歩みについては
「平和と民主主義を守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、様々な改革を行って今日の日本を築いた」と振り返り、「戦争で荒廃した国土を立て直すために人々が払った努力に深い感謝の気持ちを抱いています」

というお言葉は心にしみる。

靖国参拝後に発表された安倍首相の談話から 
本日、靖国神社に参拝し、
国のために戦い、尊い命を犠牲にされた御英霊に対して、
哀悼の誠を捧げるとともに、
尊崇の念を表し、御霊安らかなれとご冥福をお祈りしました。

両談話を読み比べると、似ているようであって正反対であることに気づく。
陛下は「前途に様々な夢を持って生きていた多くの人々が、若くして命を失ったことを思うと本当に痛ましい限り」と思っておられるのに対し

安倍首相は「国のために戦い、尊い命を犠牲にすることは称えられるべきことであり
英霊に尊崇の念を表し、御霊安らかなれとご冥福を祈る」と言う。
安倍教育改革で求める愛国心の本音はここにありとの感がある。

侵略された中国や、植民地支配を受けた韓国の人々には、戦争責任者A級戦犯もまつられている靖国神社への参拝は、戦争の正当化と見える。近隣諸国との平和が遠のいていく。
米政権は安倍首相の靖国参拝について、
「日本は大切な同盟国であり友好国だが、日本の指導者が近隣諸国との関係を悪化させるような行動を取ったことに、米国政府は失望している」と声明を発表

<映画監督の想田和弘さん> 特定秘密法、武器輸出三原則の緩和、靖国神社参拝。長年論争となってきた問題が次々に実行されている。政権からは日本が積み重ねた民主主義の歴史への敬意が感じられない。ニューヨークに住んで思うのは米国にとってアジア最大のパートナーは中国だ。日中関係が悪化すれば、日本が孤立するだけで何もいいことがない。 
朝日新聞2013.12.27
2014.01.12 Sun l 天皇制・平和・憲法 l コメント (0) トラックバック (0) l top
2013年11月30日、日本クリスチャンアカデミー主催の修学院フォーラム、エネルギーを考える1に参加した。チェルノブイリと福島からというテーマで、両方にかかわった医師山崎し知行氏の講演であった。
 そこでの話し合いで知り合った、シュペネマン・大島偕美氏から、ドイツの脱原発についての原稿を読ませてもらった。常々ドイツの行き方に興味を持っていたが、非常に分かりやすい解説なので、許可を得てここに抜粋させていただく。
その会に出席されていた同志社大学文学部哲学科教授クラウス・シュペネマン氏の夫人で、自身も大学、同志社国際高等学校でドイツ語を教えておられる。
誰でもが人間らしく生き、人間らしく死ぬ権利がある
-3.11にドイツは脱原発を決断し、日本は原発継続を決断した-

に原稿全文を掲載した。
明日への美Art Futureに掲載されているのを見つけたので参照してほしい。

「ドイツのメルケル首相は、3月 11日の朝、原発賛成者として目覚め、原発反対者として眠りについた」と「Spiegel」(鏡という意)という有力な雑誌は記しました。それには、どのような背景があったのでしょう。それほどの180度の大転換でした。

 第二次世界大戦で、ドイツは 5 月 8 日に無条件降伏を受諾し、日本は 8 月 15 日まで返答を躊躇ったため、その間、広島と長崎の原爆の悲劇を受けたのです。両国はファシズム主導の戦争、戦後は瓦礫から出発し、本来の勤勉精神で、世界でも有数の経済大国にありまでの復興を果たしました。

 でも、このところ日独の違いを感じます。ドイツ人たちは異口同音に、「日本人は原爆の悲劇的体験をしているのに、世界で米仏に次いで、第3位(54基)もの原発大国になり、また、今回の福島原発事故でも、即脱原発を叫ばないのでしょうか」と怪しげに聞きます。不思議です。それもその筈です。

 世界で 427 基ある原発の内、どこの国でも、その管理が最低見積もって 10 万年後まで必要な核廃棄物の処理方法には、その解決の糸口さえ掴めていないのです。
2014.01.08 Wed l 脱原発・エネルギー政策 l コメント (2) トラックバック (0) l top