チェルノブイリ事故から10年目の1996年、WHO、IAEA、EUが共同で、事故の健康や環境への影響に関する国際会議「チェルノブイリ事故から10年」をウィーンで開催、汚染地域における健康被害について、「現時点で事故と因果関係が明らかであると特定される疾患は、小児の甲状腺癌のみである」と報告している。
IAEAはじめ国際機関は、原子力を維持発展させるために、放射線による被害を最小に見積もりたい、従って因果関係の立証に厳しい、普通には満たしがたい条件を課しているのではないかと思われるが・・・

小児の甲状腺癌のみを事故の放射能による障害と認めた・・認めざるをえなかった理由はなんだろう。
それは甲状腺癌を起こす放射性ヨウ素の半減期が8日と極めて短かったことによる。
事故で放出された放射性ヨウ素の放射能は1月も経てば影響がなくなる。事故前あるいは事故直後に生まれた子どもに甲状腺癌は多発したが、事故後に生まれた子どもにはほとんど発生しなかった、したがって小児の甲状腺癌の発生は原発事故による放射性ヨウ素の放出によるものであることが判明したのである。

1990年以降ベラルーシ、ウクライナ、ロシアでの子どもたちの甲状腺癌の著しい増加は確認されていた。1995年の国際会議に発表されたデータでは、ベラルーシ共和国の小児(0ー15歳未満)甲状腺癌患者数は事故前10年間4名から事故後10年間424名と60倍に増加している。
しかし事故5年後の1991年にはIAEA、ソ連科学アカデミーとも、甲状腺癌と放射線被曝との因果関係を認めず、3国の現場から大きな批判が出ていた。しかし時が経ち、汚染地域での甲状腺癌のあまりの急増と、事故後生まれた子どもには発生しないいう決定的事実によって、ウィーンの国際会議でもそれまでの結論を変更せざるを得なくなったのである。

チェルノブイリ事故における小児甲状腺癌の発生原因として、甲状腺に特異的に取り込まれた放射性ヨウ素が発する放射線(ベータ線・ガンマ線)の局所集中的な内部照射によって誘発されたと考えられている。

この記事は以下に基づく
1.新版チェルノブイリ診療記 菅谷昭著 新潮文庫
2.NHKETV特集チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告「第2回ウクライナは訴える」
  2012年9月23日放送
チェルノブイリ事故発生から25年間の健康被害まとめ は優れた資料です。
2012.12.11 Tue l チェルノブイリ放射線障害 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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