国連人権理事会特別報告者アナンド・グローバー氏記者会見


氏は健康を享受する権利の実現に関して国連人権理事会および国連総会に報告・勧告する独立専門家として1月15日~26日まで来日した。政府関係者、医療従事者などへの調査を終え、東日本大震災後、被災者などに対して“健康を享受する権利”が機能していたかどうかについて中間報告を発表し、記者の質問に答えた。
2012.11.26(共同通信)
アナンド・グローバー 国連人権理事会特別報告者記者会見 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=ET2dVWgOmC4 
国連人権理事会 特別報告者のプレス・ステートメント(全文)
http://unic.or.jp/unic/press_release/2869/

ステートメントから重要点を抜粋
1.安定ヨウ素剤を配布しなかった
2.日本政府は、避難区域の指定に年間20mSv という基準値を使用したがこれは問題である
  チェルノブイリ事故の際、強制移住の基準値は、年間5mSv
3.健康調査の放射能汚染区域全体への拡大求める
2012/11/27 日経 より
福島県が実施している健康管理調査について「対象が県民などに限られ範囲が狭い」と述べ、政府に対し、「放射能汚染区域全体での実施」を要請した


短期雇用の原発作業員への長期的な健康調査が行われていないとも指摘し「政府は目を背けず、被曝(ひばく)した作業員全員へのモニタリングを行うよう求める」とした。

 また、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)を十分活用できなかった点など、事故直後の政府の対応を「残念だ」と批判した。〔共同〕

1.原発事故の直後には、放射性ヨウ素の取り込みを防止して甲状腺ガンのリスクを低減するために、被ばくした近隣住民の方々に安定ヨウ素剤を配布するというのが常套手段です。私は、日本政府が被害にあわれた住民の方々に安定ヨウ素剤に関する指示を出さず、配布もしなかったことを残念に思います。にもかかわらず、一部の市町村は独自にケースバイケースで安定ヨウ素剤を配布しました。

2.これは、年間20 mSv までの実効線量は安全であるという形で伝えられました。また、学校で配布された副読本などの様々な政府刊行物において、年間100 mSv 以下の放射線被ばくが、がんに直接的につながるリスクであることを示す明確な証拠はない、と発表することで状況はさらに悪化したのです。

年間20 mSv という基準値は、1972 年に定められた原子力業界安全規制の数字と大きな差があります。原子力発電所の作業従事者の被ばく限度(管理区域内)は年間20 mSv(年間50 mSv/年を超えてはならない)、5 年間で累計100mSv、と法律に定められています。3 ヶ月間で放射線量が1.3 mSv に達する管理区域への一般市民の立ち入りは禁じられており、作業員は当該地域での飲食、睡眠も禁止されています。また、被ばく線量が年間2mSv を超える管理区域への妊婦の立ち入りも禁じられています。

ここで思い出していただきたいのは、チェルノブイリ事故の際、強制移住の基準値は、土壌汚染レベルとは別に、年間5 mSv 以上であったという点です。また、多くの疫学研究において、年間100 mSv を下回る低線量放射線でもガンその他の疾患が発生する可能性がある、という指摘がなされています。研究によれば、疾患の発症に下限となる放射線基準値はないのです。

3.日本政府は、全体的かつ包括的なスクリーニングを通じて、放射線汚染区域における、放射線による健康への影響をモニタリングし、適切な処置をとるべきです。
福島県の健康管理調査の質問回答率は、わずか23%あまりと、大変低い数値でした。また、健康管理調査は、子どもを対象とした甲状腺検査、全体的な健康診査、メンタル面や生活習慣に関する調査、妊産婦に関する調査に限られています。これは、チェルノブイリ事故から限られた教訓しか活用しておらず、また、低線量放射線地域、例えば、年間100 mSv を下回る地域でさえも、ガンその他の疾患の可能性があることを指摘する疫学研究を無視しているためです。健康を享受する権利の枠組みに従い、日本政府に対して、慎重に慎重を重ねた対応をとること、また、包括的な調査を実施し、長時間かけて内部被ばくの調査とモニタリングを行うよう推奨いたします。


2013.01.03 Thu l 放射能・除染 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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