チェルノブイリ事故から10年目の1996年、WHO、IAEA、EUが共同で、事故の健康や環境への影響に関する国際会議「チェルノブイリ事故から10年」をウィーンで開催、汚染地域における健康被害について、「現時点で事故と因果関係が明らかであると特定される疾患は、小児の甲状腺癌のみである」と報告している。
IAEAはじめ国際機関は、原子力を維持発展させるために、放射線による被害を最小に見積もりたい、従って因果関係の立証に厳しい、普通には満たしがたい条件を課しているのではないかと思われるが・・・

小児の甲状腺癌のみを事故の放射能による障害と認めた・・認めざるをえなかった理由はなんだろう。

それは甲状腺癌を起こす放射性ヨウ素の半減期が8日と極めて短かったことによる。
チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告 「第2回 ウクライナは訴える」
低線量汚染地域からの報告・チェルノブイリ26年後の健康被害(馬場朝子、山内太郎著)
を参考にして、事故後の甲状腺癌の発病数とそれに対する国際機関の対応を見る。
チェルノブイリ事故による甲状腺癌発病数

事故後の5年間(1886-1990)の小児(0-18歳)の発症数 169名
次の5年間(1991-1996)の発症数 674名 で5年目に飛躍的に増加している。
原発事故以降に生まれた小児に甲状腺癌の発病なし!!

事故で放出された放射性ヨウ素のの半減期が8日と極めて短かいので、放射能は1月も経てば影響がなくなる。事故前あるいは事故直後に生まれた子どもに甲状腺癌は多発したが、事故以降に生まれた子どもにはほとんど発生しなかった、したがって小児の甲状腺癌の発生は原発事故による放射性ヨウ素の放出によるものであることが判明したのである。

1990年以降ベラルーシ、ウクライナ、ロシアでの子どもたちの甲状腺癌の著しい増加は確認されていた。1995年の国際会議に発表されたデータでは、ベラルーシ共和国の小児(0ー15歳未満)甲状腺癌患者数は事故前10年間4名から事故後10年間424名と60倍に増加している。
しかし事故5年後の1991年にはIAEA、ソ連科学アカデミーとも、甲状腺癌と放射線被曝との因果関係を認めず、3国の現場から大きな批判が出ていた。しかし10年後には、汚染地域での甲状腺癌のあまりの急増と、事故後生まれた子どもには発生しないいう決定的事実によって、ウィーンの国際会議でもそれまでの結論を変更せざるを得なくなったのである。

l2011年4月、チェルノブイリ原発事故25周年の会議で、ウクライナ政府は、汚染地帯の住民に深刻な健康被害が生じていることを明らかにし世界に衝撃を与えた。
チェルノブイリ原発が立地するウクライナでは、強制避難区域の外側、年間被ばく線量が5ミリシーベルト以下とされる汚染地帯に、事故以来26年間、500万人ともいわれる人々が住み続けている。
公表された「Safety for the future未来のための安全」と題されたウクライナ政府報告書には、そうした汚染地帯でこれまで国際機関が放射線の影響を認めてこなかった心臓疾患や膠(こう)原病など、さまざまな病気が多発していると書かれている。
特に心筋梗塞や狭心症など心臓や血管の病気が増加していると指摘。子供たちの健康悪化も深刻で2008年のデータでは事故後に生まれた子供たちの78%が慢性疾患を持っていたという。報告書は事故以来蓄積された住民のデータをもとに、汚染地帯での健康悪化が放射線の影響だと主張、国際社会に支援を求めている。

2013.01.05 Sat l チェルノブイリ放射線障害 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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