原発再稼働の前に将来像を 科学医療部長・上田俊英
朝日デジタル 朝刊(2013年07月09日)より転載

 われわれが急ぐべきは、将来のエネルギー利用のなかで原発をどう位置づけるかをはっきりさせることだ。安易に原発を再稼働させることではない。

 電力会社が再稼働を急ぐ理由は、もっぱら経営問題だ。東京電力の広瀬直己社長が5日、新潟県の泉田裕彦知事に柏崎刈羽原発の再稼働申請に理解を求めたとき、「安全よりもお金を優先したのですね」と言った知事のことばは、本質を突いている。

 福島第一原発事故から2年以上がたつ。しかし、日本にどれだけの原発が必要か、いつまで使い続けるのか、原発は安全なのか、といった根本的な議論はまったく進んでいない。エネルギーの将来をめぐる政府内の議論は止まっている。

 事故後、原発の安全規制は強化された。独立性が高い原子力規制委員会が発足し、原発の運転期間を原則40年に制限した。活断層の影響をより厳密に再評価する制度もできた。

 しかし、何が事故の原因だったのか、どうすれば防げたのかといった問題に明確な答えは出ていない。再び大事故が起きたときの防災対策も不十分だ。

 事故によって、われわれは原発が抱える途方もない危険性を知った。多くの人々がいまも放射線の不安のなかで避難生活を強いられている。原発がなくてもふつうに生活できることも知った。いま稼働している原発は、わずか2基。それでも節電などの工夫によって、停電することはない。

 国内には50基の原発があるが、その3割にあたる14基は2020年までに稼働40年を超える。原発はいや応なしに減っていく。

 国民の多くは原発を減らしたいと思っている。原発に頼るやり方は限界にきている。理念なき原発の再稼働は将来に禍根を残す。
2013.07.11 Thu l 原発再稼動 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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