NPO法人”あいんしゅたいん”への質問状 改訂版 に対して
2013.3.23に理事長坂東氏から質問状に対する回答(未完成)をもらった。
質問状はここ 質問状.pdfファイル

以下に回答を記載し、筆者(加藤)の意見は青で記す。

******加藤さんの質問状に対する答え(未完成ですが)******* 

ご紹介のレポートについては私は、すでに、2011年6月の段階で、竹濱さん(立命館エネルギー問題)から紹介を受けて(当時武浜さんは検討会にご参加されていました)から紹介されて、英文のものを取り寄せ、読みました。

質問1-7のどの質問に対する答えなのかはっきりしないが、
まず1.チェルノブイリにおける低線量被曝の影響をどのように検証したのか? への回答であると仮定してみる。レポートというのは「ウクライナ政府(緊急事態省)報告書」となる。後の議論で不一致の箇所もあり、「ウクライナ政府報告書」を読んでおられない可能性も否定できない。もしそうであれば、低線量放射線検討会を設置し、放射線の影響についての情報発信をしている法人として大問題である。

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第1章はほとんど引用されないのですが、チェルノブイリの最大の問題は線量評価です。この評価が曖昧だとそのあとの議論が成り立たないので、このためにかなりのページを使っています。それは、基本的には当時の政府が全部データを隠蔽した、というか、しっかり測定することの重要さを認識していなかったというべきかもしれませんが、とにかう、データが不足しているので、まずは線量評価にかなりのページを割かなければならなかったのだと思います。

これはその通りであろう。ウクライナの医師・専門家は被災者は多くが移住し、個々人の被ばく線量の確定は困難、放出された放射線核種別の線量の復元は困難であると反論している。 
翻って福島原発事故について、福島、東北、関東の人たち個々人の被曝量も測定されず知らされていない。

さらにいうならば、当時、核種ごとの半減期を考慮した上での科学的な認識をきちんと持っていなかったということでしょうか。例えばヨウ素は水に溶けやすい、半減期が短い、どういう食材にどういう形で入り込んでいるか分かっていれば、随分違ったでしょう。

何が随分違ったのか意味不明。
当時原発から事故で放出された放射性物資がどんな影響を及ぼすか全く分かっていなかった。
小児甲状腺癌がなぜ放射線障害として認められたのか2”で明らかにしたが、
事故5年で小児甲状腺がんが多発したが、国際機関が事故との因果関係を認めたのは事故から10年後である。事故で放出された放射性ヨウ素のの半減期が8日と極めて短かいので、放射能は1月も経てば影響がなくなる。事故前あるいは事故直後に生まれた子どもに甲状腺癌は多発したが、事故以降に生まれた子どもにはほとんど発生しなかった、したがって小児の甲状腺癌の発生は原発事故による放射性ヨウ素の放出によるものであることを認めざるを得なかったのである。

福島原発事故ではチェルノブイリの経験があるので、放射性ヨウ素は甲状腺がんを起こすことが分かっていた。にもかかわらずヨウ素剤は配られず、福島の子どもの健康調査ですでに甲状腺がん12名、疑いのある15名が見つかっている。

日本ではほとんどセシウムのみのデータしか発表されず、核種ごとの汚染状況は広い範囲で調べられていない。放射性ヨウ素の各人の被曝量も分かっていない。


それはそうとして、これに基づく第2章のコホート調査は、基本的にどれも、上記の線量調査に基づいたコホート分けを下に、単に様々な症状ごとに、リスクの年代変化をみたものばかりです。時間変化をもとに、原因と結果を結びつけるには、原因がいくつか考えられるときは「どの原因でどの症状がどれだけの時間差で出てくるか」をきちんと見ないと統計的に意味がありません。

筆者注)コホート研究(cohort study)とは分析疫学における手法の1つであり、特定の要因に曝露した集団と曝露していない集団を一定期間追跡し、研究対象となる疾病の発生率を比較することで、要因と疾病発生の関連を調べる観察的研究である。

報告書の原点は、チェルノブイリ事故により汚染された地域で、健康被害が多発し、放射能汚染の影響ではないかと考える医師・専門家のデータ(236万人分)を集積しての研究である。
例 ウクライナ政府報告書では、甲状腺ガン発生数(チェルノブイリ事故時に 0-18 歳だった子どもたち)をウクライナの■6つの高汚染地区と □ 21の最も汚染の低い比較地区の2集団に分けて、事故前から2009年まで追跡している。明らかに発症数に2倍ほどの大きな差があり、この倍率はずっと継続している。
比較しているコントロール地域もウクライナ国内であり、相当に汚染されている可能性が大きいことを考えると、全土を汚染された国として最大限のことをやっていると受け止められる。
統計的に意味がないと切り捨てるのはどういう種類の人たちなんだろう?


彼らの調査では、結局「微量な線量であるコントロール地域」つまりロシア全体も同じ傾向を示しているので、「微量な線量でも影響がある」としています。本来、コントロールとなる地域まで影響が出ているというおかしな結果になってしまっているのです。

これはウクライナ政府報告とは反する。比較しているコントロール地域もウクライナ国内の比較的軽い汚染地域なので、本来コントロールとなる地域(汚染されない地域)が国内にはないということ、事故による汚染がそれほど広範囲であることを示している。

当時のロシアの状況を考えると、政情不安定の中での他の要因をどう排除するかという統計的にはシビアな考察はされておりません。

他の要因とはストレスとか食事とかでしょうか。放射能による被害であると認めたくないグループ、IAEAなどの国際機関を含めて、実証しようもない別の要因を挙げて認めないという常套手段がよく見られる。


加藤さんはこの点をどう考えてこれをお読みになりましたか?正直私は、「いいかげんにしてくれ」と言いたくなりました。「統計を少しは勉強したら」と、よんでいて、腹が立ってきました。

統計は多くの人の生涯にわたる苦しみに対して、やっと因果関係が認められて1人のデータ
その苦しみや死が積もり積もって100,1000,…になってやっと疫学的に有意と認めるやり方。
このやり方で疫学的因果関係が認められない限り、被曝の影響でないと考える科学者は、
人々の健康と原発とを天秤にかけて、原発に推定無罪を判決する裁判官ではないですか?

以下はあいんしゅたいんからの回答書のみを、問題に感じる箇所に下線をつけて載せておく。竹濱さん、柴田さん、今中さんといわれても、原論文が書かれていないので何のことか分からなかった。


ICRPなど、科学者が、こんな論文に付き合ってなんかいられない、せめてレフリーのある雑誌に投稿して、価格のまな板に載せたものでないと、反論する価値もない」と思ったのは無理もないような気がします。
ABP(アメリカ原子力学会)もはっきりそう言っています。柴田さんの分析もそうですが、やはり加藤さんにききたいのは、 「その根拠となるデータはどれか、どれを信じているのか」という議論を是非したいと希望しています。というか、加藤さんが質問されたのですから、ぜひともする)必要があると思います。ただ、柴田さんの議論は一応読みましたが、 チェルノブイリはデータ自身があやふやだと書いてあるので、一体どこまで信用できるデータなのかを英語版のこの報告を点検しました。初期の段階で、例の竹濱さんが紹介したので読んで、まずは、加藤さんの見解を聞くべきだと思います。そしてICRPやIAEAの結論がおかしいなら少なくとも、チェルノブイリの評価については、我々もきちんと評価したいと思っています。もしよかったら参加されませんか?

私たちは、加藤さんも正しく指摘しておられるように、たくさんのデータを論理建てて説明する必要があると思っています。加藤さんも同じ気持ちでおられることは、紙面より伝わりました。

加藤さんのように、私たちに直接疑問をぶっつけてくださる科学者がおられることに大変心強さを感じています。ほかにも、同じような疑問を持っておられる方がおられると思います。それをそのままにせず、こうしてネットワークの中で議論できることこそ、今とても大切です。研究が細分化され、分野横断的な議論がほとんどない状況の中で、こういうことができるのはとても大切だと思っています。

チェルブイリ報告についても、確かに、綿密には読んでいないですが、(まあ、大雑把に読んでナンセンスと判断したのは事実ですが)、それに比べて、チェルノブイリからでた微量のセシウムの影響についてのトンデルの議論は、実際に宇野さんたちがしっかり日本語に訳されていますし、結構、我々も精査しました。これについては、巷に出回っている評価とは程遠いもので、トンデル自身が論文で言っていることを正しく伝えていないことを明確にして、評価してきました。この点については、今中さんとも意見は一致しています。

柴田さんのデータの切り分けがナンセンスなのか、あるいは恣意的なのか、それとも合理的な理由があるかは、柴田さんの議論だけでは抽象的でわかりません。加藤さんと直接議論したいです。ついでに、この際、統計のより詳細な評価方法も勉強したいと思っています。

多くの人たちが、こうした議論をされている現状を考えると、加藤さんとの対話はとても大切だと思っています。

なお、宇野さんは、ここずっと福島の皆さんにお話するため、月に2・3回は福島にでかけ、被災者と直接お話されています。

「バジェンスキー・ECRR信奉者は、結局引用はすべて、加藤さんの引用文献と同じものです。この種の信奉者への答えはつかれます。文章を書くだけの余裕は、今はありません。どこかで直接議論したいです。」といわれています。この時のコメントは以下にまとめられます。

①チェルノブイリの子供たちの大半が不健康と言っているのは多くの場合、ウクライナレポートにしろ何にしろ、バンダジェフスキーのデータが多いので、色々調べていて、このデータのいい加減さを、論破しないといけないなと思ったしだいです。心臓にセシウムがたまるというのはどんな根拠で言っているのか。病理のデータは病理の人にみてもらって、要するに、標本の作った時期が遅くて、組織が autolysisしているというものでした。

②子供が不健康の基準というのが全くよく解らないのです。何処にも定義がきちっとかかれていないように思います。今中さんの言っていたように、虫歯も不健康のカウントに入っているとしたら、ある程度うなずけますが。柴田さんのももう一つクリアではないのですが、というより、学問的評価の対象とならないということですが。加藤さんの根拠はすべて、この辺のデータですし。

とおっしゃっています。やっぱり直接お話するのが一番いいと思います。

それと、私たちの立場ですが、政治と科学を混同することだけは、絶対にしたくない、というかそれでは科学でなくなると思っています。加藤さんのご質問も、論理的にも、おかしなところがいろいろありますが、政治をこの場に持ち込むのは、筋違いだということをご理解ください。あいんしゅたいんは反原発の会員もいますし、いろいろな意見をまとめることはしていません。ただはっきりしていることは、科学的な認識を大切にしてこれまで活動してきたということです。ただ、現状性を見ると、またもとの「原子力村」的な体質に逆戻りするのでは、と憂えています。良心的な科学者の声をもっと結集する必要を感じています。
2013.07.15 Mon l 原発と科学者の社会的責任 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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