(地域発・企業発)広がるご当地ミニ発電 神奈川・小田原の24社が出資し起業

全国に広がる地域のミニ電力会社設立の動き
 地域の住民や企業がお金を出し合い、「ミニ電力会社」をつくる動きが全国に広がっている。東京電力福島第一原発事故で、遠く離れた原発に頼らず、地元の自然エネルギーを生かして電気を「自給自足」しようという意識が高まったからだ。

 JR小田原駅から車で15分、草が生い茂る山あいの土地1・8ヘクタールで造成工事が進む。1メガワット(1千キロワット)の大型太陽光発電所(メガソーラー)を建てるためだ。来春に完成すると、約300世帯の家庭がつかう電力を生み出せる。
 昨年末にできた「ほうとくエネルギー」が造成している。神奈川県小田原市に本社を置くミニ電力会社で、地元のかまぼこ会社やタクシー会社など24社が資本金3400万円を出してつくった。
 「メードイン小田原のエネルギーを、地域の経済に生かしていきたい」。ほうとくエネルギー副社長の志澤昌彦さん(47)は意気込む。メガソーラーだけでなく、公立学校の屋根に太陽光パネルを載せる市の「屋根貸し」事業にも参加する。小さな水力発電所をつくる「小水力」にも参入し発電能力を増やす計画だ。
 東日本大震災がきっかけだった。原発事故を起こした東京電力による計画停電が続き、小田原市の観光業も打撃を受けた。遠く離れた原発の電気にどれだけ頼ってきたか、身にしみた。
 東海地震が起きればさらに大きな影響が予想される場所のため、小田原市も昨春、自然エネルギーの活用による電力の安定化について本格検討に乗り出した。地元企業を集めて勉強会を重ねたことが、ミニ電力会社の設立につながった。
 ほうとくエネルギーの発電所の建設費は、市民から集める1口10万円の出資金でまかなう。建設作業や管理、運営は地元の電気設備会社22社が支える。
 発電した電気は、自然エネルギーの固定価格買い取り制度で電力会社に売る。その収入をもとに、出資者には配当として、出資金の2%にあたる計2千円分の地元特産品を配る予定だ。
 電力の小売りが2016年ごろに完全自由化されると、地元の家庭に売れるようになる。電気を地域でつくり、地元でつかう「地産地消」をめざす。
 ■全国10カ所超、自治体も応援
 地域の住民や企業がミニ電力会社をつくる動きは全国10カ所以上に広がる。鹿児島県では「さつま自然エネルギー」が昨春に生まれた。福島県では「会津電力」の設立準備が進む。
 昨夏に始まった自然エネの固定価格買い取り制度をつかえば、太陽光発電などの電気を売る収入を15~20年間安定して見込めるため、小規模の会社でも事業を続けやすい。
 小田原市と同様、地域の動きを後押しする自治体も増えている。
 長野県飯田市は今春、自然エネの普及と地域振興を調和させるための「持続可能な地域づくり」条例をつくった。地域住民が進める開発計画を市が資金面などで支える。
 もともと飯田市では、原発事故の前から「おひさま進歩エネルギー」が中心になり、この10年で290カ所以上のミニ発電所ができた。市は条例でさらにこの動きを広げ、自然エネを定着させようとしている。
 全国に広がるミニ電力会社について、NPO法人「環境エネルギー政策研究所」の山下紀明さんは「いかに自分たちのまちを良くしていくか、住民意識を高めるきっかけになる」と話す。
 (藤崎麻里、中川透)
 ◆小さな挑戦、波及に期待(記者の視点)
 「ほうとくエネルギー」の名は、地元の偉人の二宮尊徳が社会貢献の大切さを説いた「報徳(ほうとく)思想」にちなむ。尊徳は、「積小為大(せきしょういだい)」という言葉も残した。小さな努力を積み重ね、大きな成果を生み出すという意味だ。
 地域のミニ電力会社の発電規模はまだ小さく、安定した電力にはほど遠い。だがその小さな取り組みが全国に広がり、束ねれば大手電力会社に肩を並べるようになる、という日が来ることを期待したい。
 (藤崎麻里)
2013.07.23 Tue l 脱原発・エネルギー政策 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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