第1回クオリアAGORA/~福島原発事故は何故起きたのか~
同志社大学大学院 総合政策科学研究科教授 山口 栄一氏講演より

2,3号機は、津波で非常用電源が壊れECCSが動かなくなった後も、RCICは「最後の砦」となって動いていた。 最後の砦が稼働している間は、原子炉は「制御可能」の状態にあったわけで、この間に「ベントと海水注入」をしていれば「制御不能」の状態つまり「暴走」は起きなかった。 しかし、東電の経営者はこれを拒み続けました。 

1号機は不可抗力であったかもしれません。 しかし今、示したように2、3号機では余裕を持って「ベントと海水注入」はできたはず。 ところが、東電は故意に拒み、その結果放射能汚染は6倍にもなったのです。 

ではなぜ東電の経営者は海水注入を意図的に拒んだか。 それは、非常用電源が失われたらすぐ「ベントと海水注入」をやるのではなく、ぎりぎりまでねばってやるという「過酷事故マニュアル」に因る可能性があります。 しかし、1号機が未曾有の事態になった時、可及的速やかに3、2号機で海水注入を意思決定できたはずです。 にもかかわらず、東電の経営者は、暴走すれば人知を超える原子炉の「物理限界」とは何かが理解できず、意思決定を怠って原子炉を制御不能に陥らしめた。 福島原発の事故は、技術ではなく、実に東電経営者の「意志決定をしなかった」という「過失」に他ならず、よってその刑事責任は極めて重い、というのが私の主張です。 

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 東京電力福島第一原発事故をめぐり、東京地検は九日、業務上過失致死傷容疑などで告訴・告発された当時の東電幹部や政府関係者ら四十二人全員を「大津波を具体的に予測できたとは言えず、刑事責任を問うのは困難」として不起訴にした。(東京新聞)
検察の不起訴理由から見えてくることがある。
東京新聞の告訴理由の分類
①事故前の過失
②津波到達後の過失
③1号機のベントを遅らせた過失
④事故後の避難措置の過失

①津波対策
 東日本大震災と同規模の地震や津波は、発生以前に専門家らの間で「全く想定されていなかった」と指摘。東電の津波対策は不十分ではないと結論づけ、勝俣前会長らを嫌疑不十分とした。(朝日新聞)
 第1原発に津波が到達し、全電源が喪失して原子炉の冷却ができなくなったことが事故原因と認定した上で、東電が2008年に最大で15・7メートルの津波が想定されると試算しながら防潮堤建設などの対策を取っていなかったことの是非を検討。巨大津波の予測は困難で刑事責任は問えないと結論付けた。(毎日新聞)
 検察当局は同日の記者会見で「関係者が今回の規模の地震や10メートルを大きく超える津波を具体的に予見することは困難だった」と指摘。(産経新聞)

③1号機のベントを遅らせた過失
 菅元首相らは原子炉格納容器の圧力を下げるベント(排気)の遅れで原発建屋の水素爆発を招いたと告発されたが、作業員の被曝を避ける準備に時間を要したためだとして「嫌疑なし」とされた。(朝日新聞)
 原子炉格納容器の圧力を下げる「ベント」(排気)は早期実施に向けた準備が進められており、菅元首相の原発視察はベント実施に影響しなかったとした。(毎日新聞)
 作業に遅れが出たのも作業員が被ばくしないようにするための準備に時間がかかったためで、菅元総理大臣の視察は作業に何ら影響を与えていない」と判断しました。(NHK)リンク切れ
 原子炉格納容器の圧力を下げるベントについては「既に東電が応急の措置を講じていた」として、菅氏の現地視察や政権幹部の対応に問題はないとした。(産経新聞)

②津波到達後の過失
検察当局は「事故拡大を防ぐ応急措置の実施義務は東京電力が負っている。作業の遅れは準備に時間がかかったためで、視察は何ら影響を与えなかったと判断しました。
(NHK)
 震災後の対応については「放射線量が上昇する過酷な環境であり、他の対応策を講じていれば、事故を確実に回避できたとは認められない」と結論づけた。(産経新聞)
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参考リンク
東電の勝俣恒久会長の厚顔無恥な弁明に仰け反る [原発問題]
原発国会事故調 政府と東電、相互不信「撤退問題」真っ向対立 毎日新聞 2012年05月18日
海水注入中断指示の謎
海水注入中断問題 後藤貞雄 - 原発事故と危機管理の実務
海水注入「もったいない」東電本店が難色 テレビ会議映像で判明 2012/8/11 1:36
クローズアップ2012:原発国会事故調 政府と東電、相互不信 「撤退問題」真っ向対立
国会事故調に東電・勝俣会長〜「当事者意識なし」あらわに
2013.09.15 Sun l 原発事故原因・避難権利訴訟 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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