「年1ミリシーベルトは長期目標」 IAEA除染調査、線量の基準周知を助言
2013年10月23日05時00分

 国際原子力機関(IAEA)の調査団が21日にまとめた除染に関する報告書は、
年1~20ミリシーベルトの追加被曝(ひばく)線量は国際基準で許容されるのに、
住民の関心は長期目標の年1ミリシーベルトの達成に集中している現状を危惧する内容だった。
日本政府に対して、除染の実際の活動と住民の期待とのギャップを埋める努力が必要だと指摘した。

 調査団は、報告書に盛り込んだ8項目の助言のなかで、除染を行っている状況では「年1~20ミリシーベルトは許容できる」として、被曝線量の国際的な基準や国際放射線防護委員会(ICRP)、世界保健機関(WHO)などの国際組織の同意に沿っていることを国民に広く知らせるべきだと指摘。長期的な目標として政府が掲げる年1ミリシーベルト以下の被曝線量は、除染だけで短期間に達成できないと住民に説明する努力をすべきだと求めた。

 調査団のフアン・カルロス・レンティッホ団長は21日の記者会見で、「(年1~20ミリシーベルトの)基準の範囲内であれば、除染にともなって得られる利益と負担のバランスを考慮して目標の最適化をすすめればよい」と話した。

 福島第一原発事故後、国は避難の基準を年20ミリシーベルトとした。現在の国の除染計画は年20ミリシーベルト以下にすることを目指し、長期的には「年1ミリシーベルト以下」に抑えることを目標にしている。しかし、住民の間で年20ミリシーベルトはあまり意識されず、年1ミリシーベルトに関心が集中しているのが現状だ。

 年数ミリシーベルト超のホットスポットがある福島県伊達市は、除染だけで年間1ミリ以下にするのは現実的でないと判断している。今回、IAEAの調査にも、「年1ミリ以下にこだわれば時間、人手、予算がかかりすぎて復興が進まない」と提言したという。県除染対策課の担当者も「年1ミリはあくまで長期目標で、健康とは切り離して考えるべきだ」と説明する。

 だが、住民の多くは1ミリを「安全の基準」と考えている。避難指示の解除が話し合われた今月14日の同県田村市都路地区の住民説明会では、国の除染で1ミリ以下に下がらなかった場所があったことに対し、住民が「不十分だ」と反発した。

 IAEAの調査団は、除染の現状や課題の把握のために14日から福島県内の除染現場を視察するなどした。2011年10月に来日した際にも報告書をまとめ、除染で過剰な対応を避けるよう助言している。

 ■IAEAによる主な助言

 ◆除染を行っている状況では、年1~20ミリシーベルトという範囲内のいずれのレベルの個人被曝(ひばく)も許され、それは国際的な基準に沿っていることをきちんと広報したらよい

 ◆政府は、年1ミリシーベルトの追加被曝が長期の目標で、除染だけで短期間に達成できないことをさらに説明すべきだ。目標に向けて段階的に取り組めば、生活に必要なインフラの復旧に(除染などに使う)費用などを回すことができる 

 ◆被曝を減らすのと廃棄物を増やさないことは両立しないことを伝えるべきだ。全体的な見通しを掲げれば、人々の信頼を高められる 

 ◆線量計で個人の被曝量を測り続けることは必要 

 ◆森林内で放射性セシウムがどう移動するかの調査や、淡水、海水のモニタリングを続けること
2013.10.25 Fri l 福島放射能健康影響 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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