2013/11/26付日本経済新聞 朝刊 より転載

エネルギー消費量でアジア1、2位を占める中国とインドが太陽光発電の拡大に乗り出している。原子力発電所(1基100万キロワット)換算で中国が27基分インドも20基分もの太陽光発電能力を増強する。日本も同程度の計画を認定している。ただ、再生可能エネルギー利用の拡大とともに、関連機器を製造するアジア企業が続々登場し、日本勢は追い込まれつつある。
 インド政府は9月、北西部ラジャスタン州で国営製塩会社が保有する約9300ヘクタールの土地に発電容量400万キロワットもの大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設する計画を明らかにした。完成すれば世界最大のウルトラメガソーラーとなる。
 2016年までに第1期、100万キロワット分の完成を目指す。事業主体はバーラト重電など国営5社による合弁。投資額と売電収入の差損は政府の基金が補填する見通しだ。インド政府はほかにも複数のメガソーラーを建設し、現在200万キロワット弱の太陽光発電の設備容量を、22年までに2200万キロワットに引き上げる計画を掲げる。
政府が後押し
 中国政府も7月、15年までの太陽光発電設置目標を2100万キロワットから、既存容量の4倍超に当たる3500万キロワットに引き上げた。原発27基分に相当する能力増だ。
 国際エネルギー機関(IEA)は10年からの20年間で中国のエネルギー需要が約1.6倍、インドが約1.9倍に膨らむと予測する。中印とも化石燃料を大量に輸入しているが、新興国の経済成長でエネルギーが逼迫し、燃料価格の上昇するリスクは高まっている。大気汚染も深刻化しており環境への配慮も求められる。再生エネを増やす背景だ。
 中印は太陽光よりもコストの安い風力発電を重視し、関連産業も育成してきた。12年の発電容量ベースで中国が1位、インドが5位を占めるほどの実績がある。太陽光にシフトするのは風力の設置が一巡し、風力の適地が減少し始めたからだ。
 太陽光、風力以外の再生エネにもアジア各国は動いている。21年までに最終エネルギー消費量の25%を再生エネで賄う目標のタイ。政府が達成の切り札と位置付けるのが発酵させた稲わらの一種を使うバイオガス発電だ。「太陽光よりも電力供給が安定しコストも安い」(エネルギー省)
 火山の多いインドネシアやフィリピンでは地熱発電の増加が見込まれる。住友商事はインドネシアで現地開発業者や仏GDFスエズ系との合弁事業として、スマトラ島で地熱発電所(発電容量44万キロワット)を建設する。
 16年の完成を目指し、発電した電気は国営電力に30年間の長期契約で売り渡す。丸紅、伊藤忠商事、九州電力などもインドネシアで同様の地熱発電事業を手がける。
財政負担増も
 太陽光発電や風力発電は天候次第で発電量が安定せず、火力発電や原子力発電と単純には置き換えられない。さらに電気料金の上昇を招く可能性がある。太陽光発電の場合、日本では発電コストは10年時点で1キロワット時当たり33~38円。割安な石炭火力発電に比べ3~4倍だ。
 日本が昨年7月に導入した再生エネの全量買い取り制度では、2千万キロワット以上の太陽光発電計画を認定した。買い取り費用は電気料金に上乗せされる。経済産業省は20年に買い取り制度の年間負担額が風力や地熱など他の再生エネを含め、約8100億円に膨らむと推計する。標準家庭の負担額は12年度比約4.2倍の月額276円になる。中印が日本と同じような普及促進策をとれば国家財政や企業・家庭への負担が高まる恐れがある。
2013.12.01 Sun l 脱原発・エネルギー政策 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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