放影研の原爆被曝者調査検証 8
検証7で原爆被爆者(爆心地から2.5km以内で被曝した人)の被曝影響を比較された”非被爆者(2.5k~10kmで被曝)”の被曝線量を見積もり、放影研の原爆被曝者調査は、被爆者と被爆者を比較するという致命的欠陥を持つことを示したが、ここでは、放影研の原爆被曝者調査における”被爆者” ”非被爆者” の実態を見る。

原爆被爆者における固形がんリスクに記載された原論文
Studies of the Mortality of Atomic Bomb Survivors, Report 14, 1950–2003
Studies of Mortality of Atomic Bomb Survivors. : 1950–1997
Solid cancer incidence in atomic bomb survivors: 1958-1998
から、放影研の原爆被曝者調査の非被曝者とは
1950ー2003年調査 非被曝者 38509人 爆心地から 2.5~10kmで被爆した人
1950ー1997年調査 非被曝者 37458人 爆心地から 2.5~10kmで被爆した人
1950-1998年調査 非被曝者60792人内訳 
  約4万人が爆心地から 3~10kmで被爆した人
  約2万人は原爆投下時広島長崎市内にいなかった同市在住者
であることを示す。

放射線の健康影響の土台になっているのは、広島・長崎の被爆者の追跡調査だ。放射線影響研究所が、被爆者約9万4000人と、広島・長崎在住だが原爆爆発時に市内にいなかった約2万7000人計約12万人を現在も継続して調査している。
放影研原爆被爆者寿命調査(Life Span Study, LSS)で調査されたのは
被曝の影響を受けたと思われるこれらの人々だけであることに注意すべき。

以下原論文により、低線量被曝のリスクが比較された”非被爆者”の実態を見る。
A.原爆被爆者の放射線被曝によるがん死亡リスク
表1.固形がん死亡の観察数と期待数(原爆被爆者1950-1997) (1Gy≒1Sv)
低線量放射線の影響について
原爆被爆者固形がん死亡の観察数と期待数 
原論文 D. L. Preston1a et al.Studies of Mortality of Atomic Bomb Survivors. Report 13: 1950–1997 Radiation Research 160, 381-407,2003 

緑枠 ”爆心地から2.5~10kmで被爆した被爆者”の初期被曝5ミリシーベルト以下
=”非被爆者”とみなして 3833人の死亡は放射能の影響でない 
⇒ 被曝による過剰死亡数=0

2.5km以内の被爆者のがん死亡率から
2.5km以遠の被爆者のがん死亡率を差し引いて
被爆によるがん死亡の過剰相対リスクとされていた。

そのことにより、がん死の過剰相対リスクが大幅に少なく見積もられたと考えられる。

B.原爆被爆者の放射線被曝による固形がん発生リスク
原爆被爆者調査を行った放影研HP原爆被爆者における固形がんリスク に、1958年から1998年の寿命調査(LSS)集団の固形がん発生リスクが記載されている。ここには非被爆者の情報がないので、原論文、 放射線による発がんリスクP.9 から非被曝者の情報と過剰相対リスクの値を加えた。
表2. 固形がん発生リスク、爆心地からの距離と初期被ばく線量
固型がん発生リスク
”爆心地から2.5~10kmで被爆した被爆者” = ”非被爆者”とみなして
9757人のがん発症は放射能の影響でない ⇒ 被曝による過剰がん発症数=0

として、それ以上の被爆者のがん発症率から差し引いて過剰相対リスクが計算されている。
がんの過剰相対リスクが大幅に少なく見積もられたことになる。

放影研の原爆被曝者調査検証2非被曝者は被爆していた で残留放射能の影響を推計
表3. 被曝者(初期放射線 5~100mSv)と非被爆者の被曝線量比較
被爆者・非被爆者被曝量

初期放射能 5~100mSv の被爆者の残留放射能を含めた全被曝線量は600~750mSv
初期放射能 ≦5mSv の非被爆者=被爆者の残留放射能を含めた全被曝線量は ≦600mSv

残留放射能を考慮せず、被爆者と非被爆者と比較することで
100ミリシーベルト安全説が可能となったのかもしれない。 


参考文献・リンク
1)Kotaro Ozasa er al. Studies of the Mortality of Atomic Bomb Survivors, Report 14, 1950–2003
2)D. L. Preston1a et al.Studies of Mortality of Atomic Bomb Survivors. Report 13: 1950–1997 Radiation Research 160, 381-407,2003 
3)Preston DL, Ron E, et al.: Solid cancer incidence in atomic bomb survivors: 1958-1998. Radiation Research 2007; 168:1-64
4)放射線による発がんリスク
5)放射線影響研究所・要覧
更に、被ばく線量は爆心地から同心円状に下がるわけではない。風向き、雨などに大きく左右されることは福島原発事故で経験済み。距離で推定した被ばく線量は実態と離れ、がん死亡リスク∝被爆線量であっても爆心地からの距離とは相関しないのであろう。我々は被爆者の実際の被ばく線量を知らない。
福島放射能汚染地図
広島原爆の被曝者 爆心地から2.5km以内
福島原発事故の汚染地域 ~40km の差にも注目!!

2015.03.03 Tue l 原爆症・低線量被曝検証 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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