解除準備区域、年3ミリシーベルト 個人被曝線量推計、除染長期目標超す
2014年4月18日朝日新聞より転載

 安倍政権が福島県の避難指示区域など3自治体で行った個人被曝(ひばく)線量についての最終調査結果が17日、わかった。個人線量の測定結果に職業などの生活実態を加味して推計した。年内の帰還を目指す地域で除染の長期目標の年間1ミリシーベルトを超える年3ミリシーベルトの値も出ており、今後の帰還政策に大きな影響を与えそうだ。18日に公表される。▼4面=自治体困惑

 政権が7月にも住民の帰還を目指す川内村の避難指示解除準備区域では、除染の長期目標を超える年3ミリシーベルトだった。居住制限区域の居住者の場合、林業従事者の年間推計の個人線量は5・5ミリシーベルト、高齢者では2・1ミリシーベルトだった。

 4月に避難指示を解除した田村市都路地区でも、林業従事者は年間2・3ミリシーベルト、農業従事者は0・9~1・2ミリシーベルト、教職員で0・7ミリシーベルトだった。

 一方、全村避難中の飯舘村の居住制限区域では、教職員で11・2ミリシーベルト、林業従事者や農業従事者で年間17ミリシーベルト前後の高い値もあった。

 ■実質的な基準緩和

 今回の調査では、個人線量計を使って実測した値と空間線量値を比較した結果から、個人線量は空間線量に0・7をかけた値にあたると算出した。

 最終報告では、空間線量の値に0・7をかけたものに、NHKの「データブック国民生活時間調査2010年」をもとに、全国の農業従事者が田畑に滞在する時間など生活行動パターンを加味して個人線量を導き出した。内閣府の原子力被災者生活支援チームはこれまで「空間線量の数分の1程度」としていたが、空間と個人の線量の差はそこまで大きくなかったことになる。

 調査は、内閣府原子力被災者生活支援チームからの依頼で、放射線医学総合研究所と日本原子力研究開発機構が昨年8~9月にかけて実施。福島県田村市、川内村、飯舘村で、農地、山林、民家、学校などで空気中の放射線量を測った空間線量と、個人が実際に浴びる個人線量を比較した。

 結果は昨年10月に中間報告としてまとまっていたが、「調査過程の基礎的データだった」(内閣府)などとして、公表を見送っていた。ただ、その後の取材などを受けて公表した。

 政府は住民が帰還する際、空間線量よりも個人線量の方が生活実態を反映しているとして、各自が個人線量の数値を参考にして判断することを提案している。

 今回の調査結果は、いずれも住民の帰還条件として示している年間の被曝(ひばく)線量の20ミリシーベルト以下となっており、今後の帰還を加速させたいという政府の思惑に合致している。

 一方で、住民や地元自治体からは「年間1ミリシーベルトを目指して除染してほしい」という不安の声があがっている。政府は「効果は限定的」として再除染については依然として消極的だ。(明楽麻子、青木美希)

 ■実質的な基準緩和

 今回の調査では、個人線量計を使って実測した値と空間線量値を比較した結果から、個人線量は空間線量に0・7をかけた値にあたると算出した。

 最終報告では、空間線量の値に0・7をかけたものに、NHKの「データブック国民生活時間調査2010年」をもとに、全国の農業従事者が田畑に滞在する時間など生活行動パターンを加味して個人線量を導き出した。内閣府の原子力被災者生活支援チームはこれまで「空間線量の数分の1程度」としていたが、空間と個人の線量の差はそこまで大きくなかったことになる。

 被曝(ひばく)に詳しい国際医療福祉大クリニックの鈴木元・院長は「0・7など一定の係数で空間線量から個人線量を推計するなら、もっときめ細かな空間線量の計測や、住民の生活時間の調査が必要だ」と指摘する。

 政府は復興加速指針で、空間線量から計算していた除染基準も「個人線量の活用を検討する」としている。福島市など福島県内の4市長も今月14日、除染基準を個人線量を踏まえた推計方法に変更するよう環境省に求めた。

 除染の長期目標「年間1ミリシーベルト」は空間線量から導き出されている。これを個人線量を基に計算すれば、従来より空間線量は1・4倍多くていいことになる。実質的な基準緩和といえる。

 弘前大の床次真司教授は「0・7などの換算係数は住民全員に当てはまるわけではない。子どもは体が小さく、大人より放射線が遮られずに貫通するのでもっと大きな数字になる。生活パターンによっても異なる。住民の健康を守るための基準は、安全を優先するべきだ」と話している。

 (大岩ゆり)

 ■おもな職業別被曝線量

【自治体】

◆避難区域/職業など

 推定年間個人線量(ミリシーベルト)/推定に使った1日の仮定滞在時間

    *

【川内村】

◆居住制限区域/農業

 3.5/自宅18時間、農地6時間

◆避難指示解除準備区域/農業

 3.0/自宅18時間、農地6時間

◆区域外/農業

 1.7/自宅18時間、農地6時間

◆居住制限区域/林業

 5.5/自宅18時間、山林6時間

◆区域外/教職員

 1.1/自宅16時間、学校8時間

◆居住制限区域/高齢者

 2.1/自宅23時間、屋外1時間

【田村市】

◆避難指示解除準備区域(当時。今年4月に解除)/農業

 1.2/自宅17時間、農地6時間

◆避難指示解除準備区域(当時。今年4月に解除)/林業

 2.3/自宅16時間、山林6時間

◆避難指示解除準備区域(当時。今年4月に解除)/高齢者

 0.8/自宅23時間、屋外1時間

【飯舘村】

◆居住制限区域/農業

 16.8/自宅17時間、農地6時間

◆居住制限区域/林業

 17.0/自宅17時間、山林6時間

◆居住制限区域/教職員

 11.2/自宅16時間、職場7時間

◆居住制限区域/高齢者

 16.6/自宅23時間、屋外1時間

2014.04.18 Fri l 福島放射能健康影響 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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