(集団的自衛権)武力容認、底なし 政府・自民「集団安保でも」 敵地で戦闘の可能性
2014年6月20日 より転載-------

 政府・自民党は、武力で他国を守る集団的自衛権を使えるようにする閣議決定に、侵略国を複数の国で制裁する集団安全保障でも、日本の武力行使を可能にする見解を加える方針だ。「限定」の名のもとに、海外で武力を使うことを禁じた憲法9条の意味を失わせるような、底なしの解釈変更が行われようとしている。▼1面参照

 政府・自民党が新たに「限定」的な武力行使を認めようとしている集団安全保障とは何か。国連憲章は加盟国に対し、他国を武力で侵略することを禁じている。特定の国が侵略戦争などを起こした時、国連安全保障理事会で合意して決議すれば、加盟国が一致して侵略した国に制裁を加えるのが集団安全保障の考え方だ。

 湾岸戦争やイラク戦争で、国連決議に基づいて米国などの多国籍軍がイラクを攻撃したケースなどが、その典型例と言える。ある国が他国を守るために武力で反撃する集団的自衛権とは異なり、国連決議を根拠にして複数の国が特定の国に集団で攻撃を加えるのが集団安全保障だ。
 政府は、集団的自衛権の行使を認めるための閣議決定案の柱として、従来の「自衛権発動の3要件」に代わり、新たな「武力の行使の3要件」をまとめる方針だ。これまでの3要件は、日本が攻撃された時に自ら反撃する個別的自衛権しか認めていなかった。

 与党協議座長の高村正彦・自民党副総裁らの説明を踏まえると、新要件は「国の存立が脅かされる」「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるおそれ」といった「限定」条件を盛り込むものの、集団的自衛権に加え集団安全保障についても武力行使を認める内容となる。

 安倍晋三首相は5月15日の記者会見で、集団安全保障について「武力行使を目的として、湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、これからも決してない」「私は憲法がこうした(集団安全保障に関わる)活動のすべてを許しているとは考えない」と否定していた。しかし、政府・自民党が検討する新3要件を適用すれば、憲法9条が禁じている海外での武力行使や、従来の解釈で認めていない他国の「武力行使との一体化」に道を開くことになる。

 日本がいったん集団安全保障に参加して武力を使えば、戦況の悪化などで直接敵地で戦うようになる可能性は避けられない。結局、要件で「限定」条件をつけても、武力の行使は歯止めなく拡大していく危険性をはらんでいる。

 ■機雷掃海継続の根拠に

 政府・自民側が、集団安全保障を「限定」して使う例として想定するのは、中東の海上交通路(シーレーン)などに敷設された機雷の除去などだ。安倍首相も今月9日の参院決算委員会で、機雷の除去について「敵を撃破するために大規模な空爆をしたり、敵地に攻め込んだりという行為とは性格を異にする」「基本的に受動的かつ限定的な行為だ」と主張。武力行使の中には「受動的かつ限定的な行為」があるとして、日本の安全や存立に重大な影響があるなら、憲法が禁じる海外での武力行使も認められるとの認識を示した。

 しかし、機雷を敷設することも、それを爆破して取り除くことも武力攻撃とみなされる。今の憲法解釈でできるのは、日本周辺に置かれた機雷を個別的自衛権を使って除去▽停戦後に残された機雷を「危険なごみ」として処分――の2通りだ。

 首相が言うように、機雷の除去を「受動的かつ限定的な行為の武力行使」と位置づけても、機雷を敷設した国からみれば、日本の行為は自国に対する武力行使にほかならない。与党協議に加わる自民党議員も、機雷掃海とそれ以外の武力行使を線引きすることは「実際は難しい」と認める。

 集団的自衛権の行使に加えて、国連の集団安全保障措置でも武力を使えるようにする目的は何か。

 日本のシーレーンである中東ペルシャ湾のホルムズ海峡が機雷で封鎖された場合、日本は当初、集団的自衛権に基づいて機雷を掃海すると想定。その後、国連決議が採択され、集団安全保障による活動に移った後も、日本が引き続き米軍などと共に活動するのが狙いだ。防衛政策に詳しい自民党議員は「途中で(国連)決議が出たとたんに撤収するのか。(決議が出た)その後もやれるようにするのが当然」と主張。官邸幹部は「最初から集団安全保障に参加することも可能になる」と語る。

 ■公明、意見集約難航も

 与党協議で残された最大の問題は、戦争の停戦前でも、自衛隊が中東のペルシャ湾で機雷を取り除く活動を認めるかどうかだ。

 政府・自民党は集団的自衛権を使って機雷除去を認めるべきだとの考え方だ。安倍首相は海外からの原油などの資源輸入を「日本にとって死活的に重要だ」と指摘している。集団的自衛権の行使を前提に「日本はなすべきことをやらなければいけない」と強調する。

 これに対し、公明党はペルシャ湾で機雷を取り除く行為自体は認めるが、集団的自衛権ではなく、停戦後に残った機雷を「危険なごみ」として取り除く従来の「警察権」で行うべきだと主張する。

 このように、公明党は集団的自衛権の行使を認めるとしても、できる限り対象や範囲に制限をかけたいとの思いが強い。

 17日の与党協議では、西田実仁参院幹事長が「機雷除去ができないことが、(政府が集団的自衛権の発動要件とする)国民の幸福追求の権利を根底から脅かすことになるのか」と指摘。日本の輸入原油の8割が通るペルシャ湾のホルムズ海峡が一時的に機雷で封鎖されても、発動要件の「根底から覆される」事態にはならないとの考えを強調した。

 複数の政府関係者によると、首相が集団的自衛権を使って行いたいのは、朝鮮半島有事への対応とペルシャ湾での機雷除去の二つとされる。公明党幹部は「ホルムズ海峡での機雷除去で集団的自衛権を認めなければ、実質的な地理的制限をかけることができる」とみる。

 ただでさえこうした対立点が顕在化していたところへ、協議の最終盤になって集団安全保障でも武力行使を認め、機雷除去を行う政府・自民党の方針が急浮上した。

 与党協議に参加する公明党幹部は「集団安全保障における武力行使という問題以前に、公明党は海外における武力行使そのものを問題視している。(政府・自民党の方針は)無視していい」と切り捨てた。

 19日に集団的自衛権について協議した公明党の会議では、政府・自民党と行使を認めるための閣議決定案をめぐる具体的な議論を始めることについて、「勝手に文言調整に入られても困る」などの慎重な意見が相次いだ。

 集団的自衛権に加え、集団安全保障をめぐっても反発の声が出るのは確実とみられており、自公間はもちろん、公明党内の意見集約さえ難航する可能性がある。(土居貴輝、鶴岡正寛、二階堂友紀)
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2014.06.21 Sat l 憲法・集団的自衛権 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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