凍土壁工事が始まったが、凍土壁で汚染水を止めうる見通しは見えない。
”世界一安全な原発の再稼動”に熱心な安倍首相は、
汚染水問題に国が前面に出て責任を持つとが言ったが、
汚染水を太平洋に流し続けるのみ。


凍土機壁で原発に流れ込む地下水を遮断することはできるのか、素人が考えてもなかなか納得できない。その疑問点を取り上げた記事を転載する。
原発汚染水対策 凍土壁以外も検討せよ 嘉門雅史
2014年7月10日朝日新聞朝刊 より転載-----

 東京電力福島第一原発の汚染水対策として、1~4号機の建屋周辺の地中を取り囲む形で凍土方式の遮水壁をつくる工事が6月2日に始まった。幅2メートルで総延長1500メートル、深さ30メートルまでの地盤を凍結し、地下水を建屋に近付けない計画である。

 この方式は昨年5月、政府の汚染水処理対策委員会で方針が決まり、今年5月、私もオブザーバーとして出席した原子力規制委員会の検討会で着工が了承された。しかし、遮水壁を凍土方式だけで進めようとする対策には疑義があり、最後にこう述べた。我が国には世界に誇れる「セメントや粘土を用いた地下連続壁工法」があり、すでに実用化されている。これらの工法を含めて複合的に取り組むべきではないか、と。

 凍土壁方式を採用した理由として政府は、地中に凍結管を入れて冷媒を流すと一斉に壁ができることを挙げる。地下水の水位管理が容易で、解凍すると壁がなくなることなども利点だと言う。来年3月に凍結を開始し、2020年度末まで運用する。この間に原子炉建屋内の汚染水をくみ上げ、地下水が流れ込んでいる場所を特定してふさぐ作業をする。

 だが、予定通り工事が進むのかは疑問である。たとえば地下水の流れが想定より速ければ凍らない。今でも放射線量が極めて高い原発敷地内では、施工可能なエリアも限られる。壁をつくる場所には建屋地下を貫く配管などが約170カ所あるとされ、これら多くの埋設物がある地中に壁をつくる工事は極めて難しい。

 このような点を考えると、7年後までに建屋に流れ込む地下水を完全に止めることができるとはとても思えない。さらには溶け落ちた核燃料を取り除くにはもっと時間がかかると予想され、より長期間の遮水が必要である。

 その後も凍土壁を使い続けるのはランニングコストの面で問題が大きい。地盤をいったん凍らせた後も冷媒を流し続けて壁を維持する必要があり、膨大な電気代がかかる。腐食しにくい冷媒を使うものの、配管の交換などメンテナンス作業も避けられない。

 これに対して粘土などを使った遮水壁は、これまでの工事で使われた実績も多い。施工後の維持管理はほぼ必要がないことも含めて考えるとコスト的にも有利だ。数十年間にわたって機能する。

 東日本大震災から3年余り。汚染水対策は極めて重要であり、遮水壁の効果は大きい。しかし、凍土壁だけで進めるのはあまりにリスクが大きい。できるだけすみやかに、オールジャパンでほかの方式を検討すべきではないか。

 (かもんまさし 京都大学名誉教授〈環境地盤工学〉)
---------------転載終了

関連記事
坑道の汚染水凍結、難航 福島第一原発、凍土壁工事を初公開
2014年7月9日朝日新聞 より転載
 汚染水が増えるのを防ぐため東京電力福島第一原発で進められている凍土壁の工事が8日、報道関係者に初めて公開された。現在は地下を凍らせる配管を山側で埋めている段階で、来年3月に凍結を始める計画だ。ただ、海側は地下の坑道にたまっている汚染水の抜き取りが前提となる。作業は難航しており、工事に影響する可能性がある。

 東電は、建屋と坑道の接続部4カ所に「氷の壁」をつくって止水する方法を計画。セメントや粘土を詰めた袋を坑道に並べたうえで、凍結管で凍らせて袋の隙間を塞ごうとした。だが、4月28日から約1カ月の予定で凍らせ始めたものの、いまだ坑内にある配管周辺などが凍らない。1分あたり最大2ミリメートルの流れがあるためという。

 凍土壁でも、配管が障害になる可能性が指摘されている。坑道の凍結がうまくいかなければ、こうした懸念が強まる可能性がある。
--------転載終了

2014.07.11 Fri l 放射能・除染 l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://natureflow1.blog.fc2.com/tb.php/333-fa61efbd
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)