(ニュースのおさらい ジュニア向け) 中間貯蔵施設、福島に計画
2014年7月12日 朝日新聞夕刊より転載

 東京電力福島第一原発事故で放射性物質が飛び散り、福島の土地は汚れてしまいました。政府はこの汚れた土をとりのぞき、保管する「中間貯蔵施設」を福島県内につくることを計画しています。ただ、候補地の人は建設を受け入れていません。計画はどうなるのでしょうか。

 ■原発事故で大量の汚染物

 2011年3月の原発事故で飛び散った放射性物質に汚された土や草木、落ち葉や溝にたまった泥などを取り除く作業を「除染」と呼ぶ。福島県内の除染で出る廃棄物は、少なく見積もっても東京ドーム13~18杯分になるとみられ、いまも空き地や住宅の庭先など、県内の至るところに積まれたままの廃棄物の袋の山を見ることができる。

 これらを1カ所に集めて、放射線量が下がるまで保管するというのが、政府が進める「中間貯蔵施設」計画だ。原発事故から約半年後の11年10月、環境省は県内で15年1月から始めるスケジュールを明らかにした。

 現在は、事故が起きた福島第一原発がある、大熊町と双葉町の約16平方キロメートルが候補地となっている。廃棄物はここで永久に保管されるのではく、30年以内に県外に持ち出し、最終的に処分(しょぶん)するというのが政府の言い分だ。

 (以下の地図を見ると大熊町、双葉町は福島原発直近の町。汚染はもっともひどく汚染され、かつ現在も放射能汚染を空気、水を通して放出していることを考えると、いたし方のない方針であろう)

中間貯蔵施設をめぐる経緯 

警戒区域及び計画的避難区域における広域モニタリング結果の公表について 経産省 2011年9月1日
から双葉町、大熊町の放射能汚染状況を見る。
以下の地図で
 19.0μSv/h≧83mSv/年
 9.5~19.0μSv/h≒41~83mSv/年
と非常に放射線量が高く、到底住みうる環境ではない。
双葉町放射能汚染状況

大熊町放射能汚染状況
警戒区域および計画的避難区域等における詳細モニタリング結果
(モニタリングカーによる走行サーベイ第九巡)の公表について
平成24年8月21日 原子力被災者生活支援チーム による「表 2 計測結果(市町村別の第一巡における最高値記録地点の値の変化)』のグラフ
市町村別の第一巡における最高値記録地点の値の変化

において各町最高汚染地点の事故1年余り後の放射能値と150年後の自然減衰値は
2012.5月大熊町夫沢東台の   73μSv/h≒317mSv/年 ⇒ 9.9mSv/年
2012.5月双葉町山田出名子の  42μSv/h≒183mSv/年 ⇒ 5.7mSv/年
半減期2年の放射性134Csを無視し、放射性セシウム137Cs(半減期 30.1年)を汚染の中心とした。
2012年はもちろん、150年後においても 5~10mSv/年 の汚染値は到底人が住みうる場所ではない。



 政府は「福島県全体の復興を進めるには絶対に必要な施設」と強調し、2町の住民に建設の受け入れを求めている。しかし、2町はいまも放射線量が高く、全住民が県内外に避難している。施設ができれば、町の復興や住民の帰還に影響を及ぼしかねない。「迷惑施設」だとして、地元は認めていない。

 そこで政府は、施設が必要だと理解してもらうため、住民を対象とした説明会を5月末から6月中旬まで計16回開いた。だが、候補地にある土地の買い取り価格や、本当に30年以内に持ち出してくれるのかといった、住民の関心が高い部分の説明はあいまいで、受け入れを認めてもらえなかった。
 しかも、説明会に一度も来なかった石原伸晃(いしはらのぶてる)環境相が「最後は金目(かねめ)でしょ」と、あたかも地元との交渉(こうしょう)をお金で解決(かいけつ)すると受け取られかねない発言をしたため、地元の怒(いか)りは爆発(ばくはつ)。石原環境相は謝罪(しゃざい)に追い込まれた。このままでは、政府の見込み通り来年1月から搬入(はんにゅう)を始められるか分からない状況(じょうきょう)だ。

 ■候補地住民、国に不信感

 それでも「中間貯蔵施設は必要だ」と思う住民も少なくない。県内をいつまでも廃棄物の袋だらけにしておくわけにはいかないからだ。

 福島県の佐藤雄平(さとうゆうへい)知事は6月23日、「金目」発言の謝罪に福島を訪れた石原環境相に対し、四つの要望(ようぼう)をぶつけ、なるべく早く回答(かいとう)するよう求めた。

 求めた中身は、汚染物を県外に持ち出すことを法律(ほうりつ)で決めることや、先祖伝来(せんぞでんらい)の土地を手放したくないという人のために借(か)り上げなどを検討(けんとう)すること。どうやって住民の生活を再建させ、地域を活性化させるかという点だ。石原環境相は7月4日の講演で、「しっかりした回答を遅くともお盆(ぼん)までに示したい」との見通しを示した。

 ただ、住民の間には「どうせお金で解決したいというのが政府の本音だ」という不信感(ふしんかん)は根強い。具体的(ぐたいてき)な回答内容はもちろん、住民が抱く不信感をなくしていくためには、政府がまず、これまで以上に寄(よ)り添(そ)った姿勢(しせい)で、住民と向き合っていけるかが問われている。

 そもそも2町の大半は、放射線量が高い帰還困難区域(きかんこんなんくいき)にあたる。全町民が県内外に避難して3年余りたったいまでも、政府は何年後に町に戻れるのかの見込みを全く示していない。施設と町の共存(きょうぞん)以前に、自分たちの将来(しょうらい)が全く見通せない状況が続いている。「(政府は住民を)中ぶらりんにしてあきらめるのを待っている」。説明会では絶望(ぜつぼう)ともとれる言葉を漏(も)らした住民もいた。政府が、ささくれだった住民の感情を和(やわ)らげないと計画は「絵に描いた餅(もち)」に終わりかねない。(高田寛〈たかたひろし〉)
2014.07.14 Mon l 放射能・除染 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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