今日は8.15終戦記念日。靖国神社が話題になる日。靖国神社は、戦死した日本軍人・軍属らを「神」としてまつる神社。戦後極東軍事裁判でA級戦犯、同容疑者として収監された戦争責任を負う側の祖父を持つ2人を靖国と戦争観はどのようなものか。
(戦後70年へ プロローグ:4)孫たちの靖国と戦争
(戦後70年へ プロローグ:4)「戦争責任」自ら見つめる
2014年8月15日2014年8月15日 朝日新聞より考える

靖国神社に元外交官・東郷和彦氏(69)の祖父、太平洋戦争期に外相を務め、東京裁判でA級戦犯となり、服役中に病死した東郷茂徳氏が祀られている。

現首相安倍晋三氏(59)の祖父は元首相の岸信介(1896~1987)である。
 岸も開戦時の閣僚(商工相)だった。A級戦犯容疑者として巣鴨プリズンに約3年間収監された。東条英機元首相ら7人の絞首刑が執行された48年12月、不起訴で釈放された。

獄中の祖父東郷茂徳氏が詠んだ歌
  いざ児等よ 戦ふ勿れ 戦はば 
  勝つべきものぞ ゆめな忘れそ

 子どもたちに「戦争をしてはいけない」
 「戦争するなら勝つ戦争でなければならない」「決して忘れるな」と説く。

 命日にあたる日、孫の和彦氏は茂徳氏の墓前で手を合わせ
 「日本は今、中国と戦争になるかもしれないほどの危機に直面している。
  戦後で最も現実味のある危機だ。祖父の歌があてはまる状況にある」

 祖父茂徳は、日米開戦の危機が迫った1941年10月、外相に就任した。「米国に勝てる見込みがあるのか」と軍部に反論し、戦争回避に努めたが、日本は真珠湾攻撃に突入する。
 敗色濃厚になった45年4月、茂徳は再び外相に迎えられる。徹底抗戦・本土決戦を叫ぶ軍部を相手に、早期終戦を主張し、昭和天皇の「聖断」による降伏へと、道を開いた。

 「帝国主義の時代にあって非軍事主義の外交を追求した点に、茂徳の特徴がある」
 戦争史に詳しいノンフィクション作家の保阪正康氏はそう語る。
東京・九段の靖国神社。猛暑の境内に、濃い灰色のスーツを着た元外交官・東郷和彦氏(69)=京都産業大学教授=の姿があった。
 「ここに立つと、神道の雰囲気を実感しますね」
 靖国神社は、戦死した日本軍人・軍属らを「神」としてまつる神社だ。そこに和彦氏の祖父も含まれている。太平洋戦争期に外相を務めた東郷茂徳(1882~1950)だ。
 文官である外相がなぜ、まつられているのか。
 A級戦犯だからである。
 41年12月、太平洋戦争が始まったときの外相が茂徳だ。敗戦後に戦争指導者として逮捕され、巣鴨プリズン(東京)に収容される。東京裁判(極東国際軍事裁判)で48年、禁錮20年の判決を受けた。2年後、服役中に病死した。67歳だった。
 茂徳の女婿は外務事務次官だった東郷文彦(1915~85)で、その息子が外務省条約局長などを務めた和彦氏だ。和彦氏は「3代目」の外交官だった。

 巣鴨にいた著名な祖父を持つもう一人の人物が、安倍晋三首相(59)である。
 「お前のじいさんはA級戦犯の容疑者じゃないか」
 子供のころから言われてきた、と首相は自著で明かしている。そうした言葉への反発から自分は「保守」に親近感を持ったのかもしれない、とも。祖父とは、元首相の岸信介(1896~1987)である。

 岸は日本が中国に設立した満州国の実力者として頭角を現した。開戦時の閣僚(商工相)だった。A級戦犯容疑者として巣鴨プリズンに約3年間、幽閉された。東条英機元首相ら7人の絞首刑が執行された48年12月、不起訴で釈放された。53年の衆院選で政界に復帰。57年に首相の座に就いた。
 東京裁判は勝者による一方的制裁だ、犯罪人という意識は全くなかった――後に岸はそう語っている。
 岸の女婿は安倍晋太郎元外相(1924~91)で、その息子が晋三氏。現首相もまた3代目である。
 昨年12月、安倍首相は靖国神社に参拝した。

 同神社には78年に、14人のA級戦犯が合祀(ごうし)された。その後、戦争指導者を神とする神社に首相が参拝することの是非が政治・外交問題となった。合祀された14人の1人が東郷茂徳だ。
 「遺族として合祀はありがたいことだと思っている」と孫の和彦氏は話す。だが近年は、首相による参拝は一時停止されるべきだと訴えている。「遺族としての情と国益は分けて考えねばならない」という。
 戦死者の追悼はどうあるべきか、戦後という時代をどう評価するか――孫たちの判断は一様ではない。

2014.08.15 Fri l 戦争と平和 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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