「従軍慰安婦」が朝日新聞のでっち上げというような批判がマスメディアでなされ、朝日新聞が誤りを認めた。日本軍の強制によるという不名誉な証拠が日本側にない、といって従軍慰安婦が強制されたものでないということにはならない。強制であった証拠は被害にあわれた被害者・被害国にあるものである。

政府首脳と一部マスメディアによる日本軍「慰安婦」問題についての不当な見解を批判する
歴史学研究会声明 2014年10月15日  が出された。

  2014年8月5日・6日、『朝日新聞』は「慰安婦問題を考える」という検証記事を掲載し、吉田清治氏の証言にもとづく日本軍「慰安婦」の強制連行関 連の記事を取り消した。一部の政治家やマスメディアの間では、この『朝日新聞』の記事取り消しによって、あたかも日本軍「慰安婦」の強制連行の事実が根拠 を失い、場合によっては、日本軍「慰安婦」に対する暴力の事実全般が否定されたかのような言動が相次いでいる。とりわけ、安倍晋三首相をはじめとする政府 の首脳からそうした主張がなされていることは、憂慮に堪えない。

重要な声明であると考え、ポイントをまとめる。  
日本軍「慰安婦」問題について、歴史研究者の立場から検討を重ねてきた立場から、この間の「慰安婦」問題に関する不当な見解に対し、5つの問題を指摘したい。

第一に 『朝日新聞』の「誤報」によって、「日本のイメージは大きく傷ついた。日本が国ぐるみで「性奴隷」にしたと、いわれなき中傷が世界で行われて いるのも事実だ」とする安倍首相の認識は、「慰安婦」の強制連行について、日本軍の関与を認めた河野談話を継承するとい う政策方針と矛盾している。河野談話は吉田証言を根拠にして作成されたものでなく、『朝日新聞』の「誤報」によってその実質を骨抜きにしようとする行為は、国内外の 人々を愚弄するものであり、加害の事実に真摯に向き合うことを妨げるものである。

第二に 吉田証言の真偽にかかわらず、日本軍の関与のもとに強制連行された「慰安婦」が存在したことは明らかである。ここでいう強制連行は、安倍首相の言う「家に乗り込んでいって強引に連れて行った」ケース (①)に限定されるべきものではなく、甘言や詐欺、脅迫、人身売買をともなう、本人の意思に反した連行(②)も含めて、強制連行と見なすべきである。①に ついては、インドネシア、中国の山西省における事例などがすでに明らかになっており、朝鮮半島でも被害者の証言が多数存在する。②については、 朝鮮半島をはじめ、広域にわたって行われたことが明らかになっている。これらの研究成果に照らすなら、日本軍が「慰安婦」の強制連行に深く関与し、実行したことは、揺るぎない事実である。

  第三に、「慰安婦」とされた女性たちが性奴隷として筆舌に尽くしがたい暴 力を受けたことである。居住・外出・廃業のいずれの自由も与えられず、性の相手を拒否す る自由も与えられていない、まさしく性奴隷の状態に置かれていたことが明らかにされている。

  第四に、日本軍「慰安婦」に対する直接的な暴力だけではなく、「慰安婦」制度と日常的な植民地支 配、差別構造との連関性である。性売買の契約に「合意」する場合があったとしても、その「合意」の背後にある不平等で不公正な構造の問題こそが問われなけ ればならない。

  第五に、一部のマスメディアによる『朝日新聞』記事の報じ方とその悪影響も看過できない。すなわち、「誤報」という点のみをことさらに強調した報道に よって、『朝日新聞』などへのバッシングが煽られた中で、「慰安婦」問題と関わる大学教員にも不当な攻撃が及んで る。これ は明らかに学問の自由の侵害であり、断固として対抗すべきである。

以下転載------------------------------
  以上のように、日本軍「慰安婦」問題に関しての政府首脳や一部マスメディアの問題性は多岐にわたる。安倍首相は、「客観的な事実に基づく正しい歴史認 識が形成され、日本の取り組みが国際社会から正当な評価を受けることを求めていく」(2014年10月3日、衆議院予算委員会)としている。ここでいう 「客観的な事実」や「正しい歴史認識」を首相の見解のとおりに理解するならば、真相究明から目をそらしつづける日本政府の無責任な姿勢を、国際的に発信す る愚を犯すことになるであろう。また、何よりもこうした姿勢が、過酷な被害に遭った日本軍性奴隷制度の被害者の尊厳を、さらに蹂躙するものであることに注 意する必要がある。安倍政権に対し、過去の加害の事実と真摯に向き合い、被害者に対する誠実な対応をとることを求めるものである。

2014.10.17 Fri l 歴史認識・外交 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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