100ミリシーベルト安全説はどこから来たのか
様々な放射線関係研究機関、国際機関から広報されている情報を概観する。
検証2検証3において、100ミリシーベルト安全説ピンク太字下線 は放影研の最新の研究論文の結果と逆で、100 mSvより低い線量でがんリスクが有意に増加していることを示す。

政府は福島原発事故で年間20ミリシーベルト以下の地域に住民を帰還させようとしている。外部被曝のみで、5年間で最大100ミリシーベルトになる。
妊婦、子どもを含めた家族が、原子力作業者の線量限度 100 mSv / 5年の中は帰還させることは人道に反することではないだろうか?
原子力規制委員会は、
100 ミリシーベルト以下では健康リスクの明らかな増加を証明することは難しいと
国際的に認識されている

と帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的考え方を了承して、政府を後押しする。
5ミリシーベルト以上は放射線管理区域18歳未満就労禁止
原子力作業者の線量限度 100 mSv / 5年 50mSv/年 (女子5mSv/3月)
20ミリシーベルト福島帰還基準、1ミリシーベルト一般公衆被曝限度・・
等の根拠となっている疫学研究とは何だろう。 

放射線影響研究所の原爆被曝者疫学調査である。
 放射線影響研究所(放影研)は、日米両国政府が共同で管理運営する公益法人として1975年4月1日に発足。前身は1947年に米国原子力委員会の資金によって米国学士院(NAS)が設立した原爆傷害調査委員会(ABCC)。
放射線影響研究所は、広島・長崎の原爆被爆者を 60 年以上にわたり調査してきた。その研究成果は、国連原子放射線影響科学委員会(UNSCEAR)の放射線リスク評価や国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護基準に関する勧告の主要な科学的根拠とされている。 厚労省が原爆症認定基準の基礎にしているのも、原爆放射線被ばくによって、がんなどが一般人と比べ被爆者にどれだけ多く発症したかを調べた放影研の疫学調査である。
その研究をもとに、放射線関係機関からどのような情報発信がされているかを見る。

1.放影研における原爆被爆者の疫学調査で明らかになったこと から見る。
放射線の長期的な健康影響
 30 歳で 1,000 ミリシーベルト(mSv)の放射線に被曝した場合、70 歳でがん(白血病以外)により死亡する頻度が約 1.5 倍に増加する。
がん死亡のリスクは 100-200 mSv 以上では放射線の被曝線量に正比例
それ以下ではどういう関係になっているかは分かっていない。
もしがんのリスクは被曝線量に比例的で、「しきい値」(それ以上の被曝で影響があり、それ以下で影響がない境目の被曝線量)がないと考えるならば、100 ミリシーベルトでは約 1.05 倍、10 ミリシーベルトでは約 1.005 倍と予想されます。
図1.がんリスクと放射線量の関係
放影研がんリスクと放射線量
直線でのみ示されたこのグラフがどのような疫学調査から導かれたのかを検証する。

2.放射線医学総合研究所(放医研)が一般向けの「放射線被ばくの早見図」を改訂している。
図2.改訂版「放射線被ばくの早見図」
放射線被曝早見図
2014.7.24朝日新聞
放射線被曝の早見図について によると
2011年4月 100ミリシーベルト以下の被曝では「がんの過剰発生がみられない」⇒
2013年5月 100ミリシーベルト超では「がん死亡のリスクが線量とともに増える」 に変更
 変更理由 国際放射線防護委員会( ICRP )の2007年勧告に従う
100 mSvより低い線量では、がん死亡リスクの増加が統計学的に検出されない
という趣旨であったが「がんが過剰発生しないことが科学的に証明されている」と誤解されることを避けるため

事実『100ミリシーベルトまでは安全』というPRは随分なされたが
『(100ミリ以下で)がんが過剰発生しないと科学的には証明されていない』
ことを公式に認め、改めたというべきか。

3.公益財団法人 放射線影響協会(放影協)
 放射線の影響がわかる本第5章 放射線とがんの関係  から
図3. 放射線とがんの関係 - 放射線影響協会 より
放射線とがんの関係
放影研の原爆被ばく者の健康影響を調査の結果からわかったことは
☆100mSv を超える被ばく線量では被ばく量とがん発生率との間に比例性がある。
100mSv 以下の被ばく線量では、がんリスクが見込まれるものの、統計的な不確かさが大きく、
疫学的手法によってがん等の確率的影響のリスクを直接明らかにすることはできない
追加 低線量被曝の健康影響を不明としやすい理由に
被曝者と”被爆者(2.5~10kmで被曝)”を比較したために差が見えにくい
こうして100ミリシーベルト安全説が生み出されたといえよう。

図4. 放射線被曝によるがん死亡リスク を見よう
がん死亡生涯リスク

”100mSv以下ではリスク増加はあるか否かは不確か”とあり
図の放射線被曝がない場合とは、実際は爆心地から 2.5~10kmで被爆した被爆者 

参考 100mSv安全の根拠-原爆の知見を信用しますか? 
(2011年8月18日 読売新聞)によると
放射線の健康影響の土台になっているのは、広島・長崎の被爆者の追跡調査だ。放射線影響研究所(広島市)が、被爆者約9万4000人と、広島・長崎在住だが原爆爆発時に市内にいなかった約2万7000人計約12万人を現在も継続して調査している。
・放射線影響研究所  ABCC(米国)が前身
 最初に影響が出たのは白血病で、原爆の2年後から増え始め、6~8年後に最も増えた。ただし、被曝(ひばく)量が5~100ミリ・シーベルトだった約3万400人では、被曝が原因とみられる白血病の死者は4人で、明らかに増えたかどうかはわからなかった。白血病以外のがんは、25年後の1970年ごろまで明らかな増加はみられなかった。

 現在では、1000ミリ・シーベルトの被曝をした人は平均して、被曝していない人に比べ、がんの発症率が1・5倍高く、被曝量とがんの発症率はほぼ比例関係にある。だが、被曝量が少ないほど被曝していない人との差は小さくなる。同研究所主席研究員の中村典(のり)さんは「実際には何らかの影響があるのだろうが、12万人の調査で統計的に差が出るのは、100~200ミリ・シーベルトくらいまで」と話す。それ以下の量の被曝では、どの程度の影響があるのかはっきりしないという。

 100ミリ・シーベルト未満の放射線の影響は動物実験などからの推定になるが、専門家の間でも意見は分かれる。〈1〉低い放射線量でも、量に比例して発がん率は増える〈2〉一定量以下の放射線はまったく影響を与えない〈3〉放射線量が低いからといって発がんの危険はあまり減らない――などの説がある。

 同研究所の調査から推計すると、100ミリ・シーベルトを1度に被曝した時の生涯の発がん率の増加は1・05倍程度になる。それを多いとみるか、少ないとみるかは、個人によって受け取り方が違う。科学技術社会論が専門の東京大学教授、藤垣裕子さんは「どこまでを許容するかを決めるのは、社会であり市民自身」と話す。
(中島久美子、館林牧子、野村昌玄)


2015.03.09 Mon l 原爆症・低線量被曝検証 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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