放影研の原爆被曝者調査検証7 被爆者の被爆線量
放射線の健康影響の土台になっているのは、放射線影響研究所が、被爆者約12万人を対象とした放影研原爆被爆者調査(Life Span Study, LSS)
この調査の被ばく線量算定によると
年間20ミリシーベルト帰還基準は爆心地から2.4kmで被爆に相当
100ミリシーベルト安全説は
爆心地から 1.9kmで被爆は安全
に相当


爆心地から3.5km以内(被曝線量≒1ミリシーベルト)で
厚労省は「原爆症」の認定をしている。 安全なはずがない。

原爆被曝者調査検証8 で詳述するが、原爆被爆者における固形がんリスクに記載された原論文
から、放影研の原爆被曝者調査の被爆者・非被曝者とは
被爆者  約5万人 爆心地から 2.5内で被爆した人
非被曝者 約4万人 爆心地から 2.5~10kmで被爆した人

被爆者の被曝影響を比較された”非被爆者”の被曝線量を見積もる必要がある。

1.初期放射線による被曝線量
厚生労働省・原爆放射線について による
図1.広島原爆の放射線量(初期放射線のみで残留放射線を含まない)

広島放射線量2
爆心地の周囲2kmはほぼ全焼し、爆風による建物の全半壊地域は3.5kmを考えると、2.65kmが胸のCTスキャン1回分の被爆??という結果には唖然とする。表1.より
年間20ミリシーベルト帰還基準は爆心地から2.4kmで被爆に相当
100ミリシーベルト安全説は
爆心地から 1.9kmで被爆は安全
に相当

放影研の被爆者・非被爆者の定義、福島の帰還基準年間20ミリシーベルト、100ミリシーベルト安全説の100ミリシーベルト相当の被爆距離を示した。
余りに低い被ばく線量は、放影研の残留放射線に関する以下の見解によると思われる。
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放射線影響研究所の「残留放射線」に関する放影研の見解によると、原爆の放射線被曝線量については、「残留放射線」の関与は「初期放射線(直接放射線)」の被曝線量推定値の誤差範囲内にあるとして、放影研被爆者疫学調査では初期放射線のみが考慮されている。
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図2.放影研(放射能影響研究所)の資料による原爆の初期放射線による被曝放射線量
爆心地からの距離と空中線量との関係 右側には一般的な生物学的症状、
およびその他の放射線源による被曝量を示す。
原爆初期放射線量
**シーベルトとグレイ Sv = 修正係数 × Gy  シーベルト(Sv)≒グレイ(Gr)
物質が放射線に照射されたとき、その物質の吸収線量を示す単位がグレイ(Gy)である。生体が受けた放射線の影響は、受けた放射線の種類と対象組織によって異なるため、吸収線量値(グレイ)に、放射線の種類ないし対象組織ごとに定められた修正係数を乗じて線量当量(シーベルト)を算出する。

表1.爆心地からの距離と被ばく線量の関係 原爆症認定審査方針より
クリックすると拡大されます
原爆症認定審査距離放射線量2

2.放射性降下物による被曝
「黒い雨、私も浴びた」 広島の援護区域外36人認定申請 2015年3月25日 朝日新聞
からも分かるように、初期放射能以外に残留放射能を考える必要がある。
黒い雨地図

放影研被爆者調査における被爆者(爆心地から2.5km以内)、非被爆者(2.5km~10km)を示した。
被曝の影響を比較した”非被爆者”の被曝はどの程度か。

原爆症認定に関する検討会 残留放射線と内部被曝 に詳しい解説がある。
1.初期放射線の推定線量が実測値と符合しているのは約1.5kmまで。それ以遠は過小評価になっている。
2.遠距離・入市被爆者に急性症状が系統的に発症していることが多数の調査で明らかである。2002年線量推定方式DS02では説明できず、残留放射線による被曝影響を考えざるをえない。
3.被爆者の放射線影響は急性症状発症率の調査、染色体異常などの被爆実態を出発点として行うべき。

原水協 原爆被害の隠ぺい  から、被爆放射線量を推定する
図4.広島原爆の被曝放射線量推定
広島原爆被曝線量推定
黒線:原爆投下の瞬間に受ける初期放射線(図2と同じ) 
グレイゾーン:急性症状発症率から推定した放射性降下物の影響
 爆心地近くでは、残留放射能の影響がでる前に亡くなって、見かけ上影響が小さくなるのか
:初期放射線+放射性降下物による影響 であり
図2.の初期放射線量と図4.の放射性降下物のグレイゾーン下限値を足し合わせたもの

2.5km(初期放射能≒5mSv)を境に分けられた被爆者と非被爆者の被曝線量を比較する
被爆者・非被爆者被曝量1
初期放射能 5~100mSv の被爆者の残留放射能を含めた全被曝線量は600~750mSv
初期放射能 ≦5mSv の被爆者の残留放射能を含めた全被曝線量は ≦600mSv

2.5km以内の被爆者を残留放射能によって初期放射能以上の被爆を受けていた”非被曝者”と比べれば被爆によるがんの過剰リスクは見かけ上大幅に減じる。
放射線被曝の影響は、当然見えにくくなってしまう。
放影研の原爆被爆者疫学研究の根拠がなくなる
ICRP、IAEA等の放射線防護基準も


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原水協 原爆被害の隠ぺい(3)より要約転載 --------
遠距離被爆者に対する影響 
 被曝の線量評価と、これを基礎にして行われた放影研の疫学調査には大きな欠陥がある。
 広島原爆被爆者の脱毛、皮下出血など、急性放射線症状が発症した割合の調査結果から、放射線被曝の影響を推定した。図の、爆心地から1??~2.5kmにかけて急速に減少している黒線は、原爆投下の瞬間に受ける初期放射線量(図2より)。初期放射線は爆心地からの距離とともに急速に減少するので、~2.5kmから数kmにわたって急性放射線症状が発症していることを初期放射線だけでは説明できない。
 そこで急性症状の発症率の初期放射線による部分を差し引き、放射性降下物による部分を推定すると、図の爆心地から1・5~3kmにかけてピークになったグレーゾーンとなる。
爆心地から1・5km以遠では初期放射線を上回る影響を
放射性降下物によって受けている
 ことがわかります。

放影研の疫学調査の過ち
 放影研の疫学研究では、放射線をあびた被爆者グループ非被爆者グループに比べて、どれだけ多くガンによって死亡したかを統計学的に求めている。
 この疫学研究では、初期放射線量に基づいて中性子の影響をガンマ線の10倍として合算したシーベルトという線量当量を用いているが、10ミリシーベルトあるいは5ミシーベルト以下と評価された被爆者を非被爆者と見なしている(広島の爆心地から2・5km以遠に相当)。2.5kmでは図に示したように、放射性降下物によって平均≒600~700mSvの被曝を受けており、初期放射線量の60倍~160倍の被曝の影響を受けている。
放射性降下物で被曝している人を非被爆者と見なすのは
疫学研究の致命的な過ちです。

この大きな過ちが、被爆者が原爆放射線による後障害に苦しんできた実態と審査会の基準が大きくかけ離れる原因です。 --------

原爆放射能影響推定
2015.03.04 Wed l 原爆症・低線量被曝検証 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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