政府は福島原発事故避難指示を解除して、年間20mSv以上の高度汚染地域に住民を帰そうとしている。避難指示が出されていない福島市や郡山市でも多数の小児甲状腺がんが発生しているというのに。福島棄民政策が進めば、今後どれほどの健康被害が出てくるか。20ミリシーベルトで安全という根拠はどこにもないのに。
「安心して帰れるのか」 避難解除17年3月目標、住民困惑 福島第一原発事故
朝日新聞 2015年6月13日掲載より
 東京電力福島第一原発事故で避難指示を受けた居住制限区域と避難指示解除準備区域の住民について、政府は12日、2017年3月までに指示を解除する目標を決めた。住民計約5万5千人に東電が支払っている慰謝料は、この先3年分を一括で渡す。除染やインフラ復旧が遅れる中、期限だけが示され住民は戸惑っている。

福島避難区域

帰宅困難区域 年間50mSv 以上
居住制限区域 20mSv~50mSv 23,000人
避難指示解除準備区域 ≦20mSv 31,800人 
東電支払い 精神的損害賠償(慰謝料)月額10万円 18年3月終了
帰宅困難区域の解除時期は明らかにしなかった。

福島第一原発事故の収束作業に当たった作業員が白血病を発症したことについて、厚労省は被曝したことによる労災と認定して本人に通知した。福島第一原発事故への対応に伴う被曝と、作業員の病気に因果関係があるとして労災が認められるのは初めて。労災が認められたのは北九州市在住の41歳の男性。2012年から13年にかけて、東京電力の協力企業の作業員として、3号機や4号機周辺で、構造物の建設や溶接の作業に当たり、2014年1月に急性骨髄性白血病と診断されたという。累積の被曝線量は福島第一原発で約16ミリシーベルト、定期点検工事で2012年に約3カ月間働いた九州電力玄海原発で約4ミリシーベルトだった。20ミリシーベルトで白血病がありうるということ。。。
「被曝で白血病」事故後初の労災認定
 「一律で帰還時期を断定しており、時期尚早で拙速だ。リハビリを始めたばかりのような状況で『自立しなさい』と迫るのは、被災地の状況を見ていない」

 全域に避難指示が出ている富岡町から、いわき市に避難している司法書士の渡辺和則さん(41)はいう。住民は避難先で新たな仕事に就いたり、子どもが新しい学校に慣れたりしている。

 渡辺さんら公募で集まった町民は100時間以上の議論を重ね、町の復興計画をまとめた。その中で「町へ帰る」「帰らない」以外に「今は決めない」という選択肢を認め、支援する考え方を打ち出した。

 復興庁の調査では、回答した町民の3割が解除後にふるさとに戻るかどうか「判断がつかない」と答えた。ほかの周辺自治体も似た傾向だ。渡辺さんは、解除がせかされることで町民が「帰還か移住か」で分断されないか心配する。「すぐに判断できない人たちが置いてけぼりにならないようにそれぞれの選択を尊重してほしい」と話す。

 大部分が居住制限区域になっている飯舘村。17年3月までに避難指示を解除する方針に、菅野典雄村長は「一定の評価ができる」と話す。慰謝料を一律で支払う方針について、「住民間の分断やコミュニティー崩壊につながる要因の一つが取り除かれる」と歓迎する。

 一方、伊達市内に避難する酪農家の長谷川健一さん(62)が国に求めるのは除染の徹底だ。「安心して村に帰れる状況になってから解除を決めるべきなのに順序が逆だ」と反発。村内は場所によって放射線量が依然高く、除染で取り除いた土を入れた袋が至る所に山積みされたまま。コメや野菜づくりを再開できても買ってもらえる見込みもない。

 長谷川さんは、村民の半数以上にあたる約3千人が参加する「飯舘村民救済申立団」の団長。菅野村長に17年春までの避難指示解除の目標を撤回するよう申し入れている。「村は一方的に国が決めたことに従うのではなく、我々が何を求めているのかを聞いてほしい」

 内堀雅雄知事は「実際に住民が安全に、安心して帰れる状況を2年間で作り出せるか。除染、産業再生、医療対応などを同時に進めなければ成り立たない」と話し、実現の難しさを指摘した。
 ■<考論>移住か帰還、選ぶ時

 清水修二・福島大特任教授(地方財政論) 新たな街のデザインを描くためにも、賠償は可能な限り早く終息させた方がよい。だらだら続けば依存状態や地域内対立を生む。住民も移住か帰還かを選ばなければならない時が近づいている。ただ、初めから期限ありきで進めるのは問題だ。合理的な基準に基づいて判断すべきだ。
 ■<考論>賠償のリストラ策

 吉岡斉・九州大大学院教授(科学技術史) 今回の方針は原発事故の被災者賠償の明白なリストラ策だ。様々な理由で故郷に戻れない避難者にとって、慰謝料や賠償金は生活費の一部だ。働けない高齢者や障害者など、生活再建のめどが立たない人も大勢いる。一律の打ち切りは、そうした人たちの切り捨てと言われても仕方ない。

2015.11.01 Sun l 放射能・除染 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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