福島医大の大平哲也教授らは、福島原発事故による外部被ばく線量の程度と、甲状腺がん発生割合に関連はみられないとする研究結果を国際医学学術誌「Medicine」電子版に発表1 ) した。
私論 福島甲状腺がんは被ばく線量に比例する⇒被ばく影響である 3) を、T氏が福島県立医大へ送ってくださったところ、「福島医大の大平教授から以下のコメントが送られてきました。 コメント頂ければ幸甚です。」というお知らせをもらった。各コメントについての解答を述べるという形で考察する。
経過は 人生二毛作の田舎暮らし にある。

1.地域の分け方が恣意的にならないようにという指摘
このような地理的分析を行う場合、一番大事なことは恣意的な分け方にならないように最大限の努力をすることが大事です。いわゆる原発に近い遠いで分けるのであれば客観的な基準を用いて分けなければなりません。単に中通り、会津地方等の分け方でもそれは行政区分であって、客観的な基準とはなりえないです。

回答
この指摘は大平論文にこそ当てはまると考えます。甲状腺がん発生ゼロの会津地域と、地理的に離れた、甲状腺がん発生の多いいわき市と組み合わせることで、高・中・低被ばく地域(A,B,C) の甲状腺がん発生率が外部被ばく線量の順と逆転して、相関が無くなっています。外部被ばく線量が1ミリシーベルト以下の人が99・9%以上の(C)地域、これは、福島県健康基本調査に依った一見客観的に思われる区分分けですが、国連科学委員会UNSCEAR2013甲状腺被ばく線量 4) と比較すると
県調査      いわき市 0.3ミリシーベルト
UNSCEAR2013 いわき市 31.16ミリシーベルト: 県調査のの100倍、福島県59市町村中最高です。甲状腺計測、WBC検査、大気拡散シミュレーションを考慮した放医研による甲状腺線量の再構築 5) でも、いわき市、双葉町、飯館村が1歳児甲状腺被ばく線量の福島県内最高値30mSvを示しています。
線量最低の会津地域と線量最高で有病率も高いいわき市と組み合わせることによって、”甲状腺がん外部被ばくと関連性なし”という誤った結論になったものと思われます。

地域の選び方によって、甲状腺がん発生と外部被曝線量の間に明らかな比例関係が成立します。私論 3)では、放射線プルームの地図、ヨウ素プルームの解析論文 4)などを参考に、できる限り同程度の放射線量の近隣市町村を同じ区分にするように分けたものです。いわゆる原発に近い遠いで分けるのであれば客観的な基準を用いて分ける方法は簡単ですが、同心円状に放射能ブルームは拡がらず、放出時の風向きや降雨状況によって線量が大きく左右されたことが判明している以上、線量・有病率とも平均化されて、何の相関も見られないことがあらかじめ予測されます。

2.平均値の使い方
今回、平均値を用いて相関分析を行っていますが、外部被ばく量は正規分布をとっておりませんので平均値はその集団の代表性を表しておりません。ですので中央値を用いるのが普通です。平均値を用いた解析は誤った結果を出す可能性が高いので避けて下さい。

回答
外部被曝線量は福島県民健康調査「検討委員会」資料(4)から行いました。福島県の線量評価はUNSCEAR2013 REPORT  のものよりはるかに低く(平均1/30)、殆どが0~1ミリシーベルト、福島市を含む県北8市町村、郡山市、飯館村の10市町村のみ1~2ミリにピークがあります。中央値は福島県資料からは提供されていません。それを使うべきという議論は、内部情報にアクセスできる福島県立医大に解析をまかせよいうのに等しいと考えます。県資料から有意な地域別線量を読み取る方法は、平均値以外にありませんでした。詳しい情報公開をすべきと考えます。

3.調整の有無
ご存知のように、甲状腺がんに大きく影響するのは年齢と性です。これらを調整しない分析は誤った結果を出す可能性が高いので避けて下さい。

回答
年齢と性の発がんとリンクした地域別情報は福島県から提供されていません。被曝影響による甲状腺がんに有効な年齢・性・調整方法が確立しているかについては存じません。

4.生態学研究(相関分析)の限界
相関分析で一番大事なことは疾患と地域との関連を個人に当てはめることはできないということです。ですので、例え相関分析で地域と甲状腺がんとの関連があったとしても、それはあくまでも放射線外部被ばく量が多い地域において甲状腺がんが多かったという結果であって、外部被ばく量が多いと甲状腺がんが起こるという結論ではありません。これは疫学研究の原則です(相関研究では因果関係を導くことができない)。

回答
相関分析で地域と甲状腺がんとの関連があったとしても、それはあくまでも放射線外部被ばく量が多い地域において甲状腺がんが多かったという結果であって、外部被ばく量が多いと甲状腺がんが起こるという結論ではありません。これが疫学研究の原則とのご意見ですが、”外部被ばく線量が多いと甲状腺がんが起こる確率が高くなる”とは言えないというのが疫学の原則ということでしょうか。これが健康調査の実施主体である福島県立医大の見解というのであれば、どんな結果が出ても被曝起因性は一切認めないということを意味するように感じます。いったい何のために福島県健康調査はなされているのでしょうか?
広島原爆から始まった被爆者疫学研究(LSS)では、がん発生確率,がんによる死亡確率∝被ばく線量 
であれば、被ばく線量が多ければがんが起こる確率が高くなる、と解釈しているのではありませんか。
放射能影響研究所が元になっている100ミリ安全論 6) も、がん確率∝線量関係から導いているはずです。

関係論文
1)原論文 外部被ばく線量に基づく甲状腺がん有病率の比較 Medicine掲載.pdf
2)解説 外部被ばくと関連性なし 18歳以下の甲状腺がん有病率
福島民報 2016/09/09
3)私論 福島甲状腺がんは被ばく線量に比例する⇒被ばく影響である
4)UNSCEAR 2013 REPORT 
Average absorbed dose to thyroid in 10-year-old children in first year for Fukushima Prefecture
5)放医研による甲状腺線量の再構築 
6)100ミリシーベルト安全説 放影研の原爆被曝者調査検証 
7)Atmospheric behavior of radioactive materials from Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant T.OHARA et al. 
8)「県民健康調査」検討委員会資料
9)第 23 回「県民健康調査」検討委員会
10)なぜ福島県の子どもに甲状腺癌が増加しているのか?地図化して比較する
11)http://www.unscear.org/docs/reports/2015/Fukushima_WP2015_web_en.pdf p.33 Thyroid anrmalies
12)Thyroid Cancer Detection by Ultrasound Among Residents Ages 18 Years and Younger in Fukushima, Japan: 2011 to 2014
May 2016 Tsuda, Toshihide; Tokinobu, Akiko; Yamamoto, Eiji; Suzuki, Etsuji 
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FB上の意見交換
Shin-ichi Kurokawa 田口さんのご意見を支持いたします。ただ、放射性ヨウ素による初期被ばくについての線量の正しい評価は、5年もたった現在では簡単ではないと思います。ただ、セシウムによる外部被ばくと放射性ヨウ素による被ばく量は、比例関係が成り立たないことは明らかな事実であり、セシウムによる外部被ばく線量によって、地域を分類し、甲状腺がんの発生数に地域差がないというのは、方法として間違っているだけでなく、一種にペテンになります。例えば、セシウムの被ばく量に比べて相対的にヨウ素による初期被ばくが大きかった、いわき市を、Group C から Group B に移すだけで、大平論文の結論である地域差はないことは否定されてしまうはずです。私は、。Group C の中に、会津東部地域を除く会津地域に一例のがん発生も見られないのに、ほぼ3倍の被験者を持ついわき市で24例のがん患者が発生していることが、大平論文の結論と矛盾していることを、Facebookに投稿しております。

Shin-ichi Kurokawa
昨日 2016.9.18.2:52 ·
大平氏他による、「外部被ばく線量の基づく甲状腺がんの有病率の比較」では、外部線量の大きさによって分けた3つの地域の間で甲状腺がんの発生率に差がないという結論ですが、以下のような疑問点を指摘したいと思います。
Group C は the lowest dose area とされています。この論文の結論を認めるとすると、この area 内では、有病率がほぼ一様となるはずです。ところが、会津東部地区を除く会津地区では、12872人中、一人も患者が出ておりません。それに対して、いわき市では、49429人中、24人のがん患者が見つかっています。このようなことが起こるのは、統計的に見て99%以上の確率でありえないことです。

Toshiko Kato 疑問点から気がついて調べてみました。会津地域は被ばく線量が最低(0.1-0.2mSv)で甲状腺がん発生=0(最近発表で1人がんが発見)の地域、いわき市は中程度の外部被ばく線量(0.5mSv)で24人のがん患者、それらを合わせると、県民健康調査の基本調査で分かった個人の外部被ばく線量の結果をもとに、県内を市町村単位で(1)外部被ばく線量が5ミリシーベルト以上の人が1%以上(2)外部被ばく線量が1ミリシーベルト以下の人が99・9%以上(3)それ以外-の3つの地域に分けた。その上で、甲状腺がんの有病率を指標化すると、最も線量が高い(1)が10万人当たり48、最も低い(2)が同41、(3)が同36で、「地域間で違いはみられなかった」とした。 という結果が出るのは当然でしょう。   http://natureflow1.blog.fc2.com/blog-entry-474.html の4群がいわき市、5・6群が会津地方です。

Toshiko Kato 今見ただけで、黒川さんの論をしっかり読んでいないのですが、WHO被曝線量は福島県の報告の被ばく線量の10倍ほど高い。でも甲状腺がん有病率との相関は低いです。福島県の線量は、チェルノブイリと比べて桁違いに低い、したがって甲状腺がんとは関係ない、と言いたいための評価!!に見えます。しかし、被曝線量ー有病率との比例関係は明白です。グループの取り方で比例関係を見えなくするのは極めて簡単。ぜひ福島甲状腺がんは被曝線量に比例する、被曝影響である事が証明されたhttp://natureflow1.blog.fc2.com/blog-entry-・・・ を読んでください。疫学誌に投稿ー私は疫学統計勉強していないのでできないー誰か助けてくれませんか?

Toshiko Kato 被爆線量と有病率と強い相関関係があります。1群原発周辺、2群浪江・南相馬・飯館、3群福島市・郡山市を含む福島中通り、4群いわき市、5群会津、6群西会津に順に、汚染が少なく、外部被ばく線量が低くなっていく。低汚染会津地域(5・6群)は有病率≒0、がん発生なし、は有病率と被曝線量の相関を明らかに示している。有病率∝被曝線量は記事を読んでください。
2016.11.07 Mon l 福島甲状腺がん l コメント (0) トラックバック (0) l top

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