東京電力による福島原発事故の調査報告書が公表された。6月22日朝日新聞社説より

 結論を一言でまとめるなら、「原因は想定を超えた津波にある。東電の事後対応に問題はなかった。官邸の介入が混乱を広げた」というものだ。
以下筆者のコメントは<>内の青字で示す。
<事故を起こした被告人は、自己に不利なことは一切言わないのが当たり前と考えれば、納得のいく事故報告書ともいえる>

 事故後の対応で、冷却作業などの遅れが指摘されている点には、与えられた条件下で最善を尽くしたと主張する。
<原発1号機への国のベント指示、ついでベント命令から、ベント実施に9時間かかった。
これは、原発事故において、なすすべが無かった東電の実態を示す。
その間2号機、3号機の事態の進行を把握できずベントも遅れ、メルトダウン、膨大な放射能の放出となった。

東電の言う与えられた条件下とは、原発は安全、津波は来ない、全電源喪失なんてありえない
過酷事故の想定は不要、非常用覆水器の使い方を知らない、
手動ベントの仕方はマニュアルを見なければ分からない、マニュアルがどこか分からない
などなどの東電がつくりあげた条件下、真っ暗な大混乱の中懸命にやった ということだろう>




 半ば予想されていた主張とはいえ、これだけの大事故を起こしながら、自己弁護と責任転嫁に終始する姿勢にはあきれるほかない。

 こんな会社に、原発の再稼働など許されない。

 報告書は、東電社内でも津波が15メートル以上になるケースを試算していながら、対策を講じなかったことについて、「国が統一した見解を示していなかったため」と、国の責任にしている。


 東電が官邸に「全面撤退」を申し入れたとされる問題は、官邸側の勘違いとしている。
 そもそもの発端は、当時の清水正孝社長からの電話である。電話を受けた一人である枝野官房長官(当時)が会話の内容を詳しく証言しているのに対し、清水氏は「記憶にない」としており、報告書ではこの電話には一切触れていない。

<この被告人陳述を採用して、官邸の勘違いと談じた国会事故調もあったが、原子力村・東電の送り込んで別働部隊だろう。
東電は撤退にしろ退避にしろ、一部~10名ほどを残して退避することを官邸に尋ねていたのである。
~10名で暴走する1-4号機+5・6号機をどうして制御できるのか。
危機的状況の中で原発を放棄して逃げようとしていたとしか見えない。>


 事故後の対応は、東電本社と原発を結ぶテレビ会議システムの情報を公表すればわかる。

 しかし、東電は「プライバシー」を理由に公表を拒む。「例えば作業員がどんな姿勢で映っているかわからないから」などの理由をあげる。

 東電のもつデータをすべて公開させなければ、福島事故が解明できないことは明白だ。

 東電が自らの責任にほとんど言及しないのは、今後の賠償、除染、廃炉費用の負担や株主代表訴訟などを考えて、有利な立場に立ちたいからだろう。

 しかし、原因を突き止め、発生後の対応の問題点を洗い出して、今後の教訓を引き出さないのでは、何のための事故調査だろうか。

 報告書が示しているのは、事故の真相ではなく、東電という会社の体質である。事故の詳細や責任の所在などを後世に残すという歴史的使命に向き合うよりも、会社を守ることを優先させる企業の実相だ。

 原発はこういう会社が運転していたという事実を改めて肝に銘じておこう。

6月22日朝日新聞天声人語では
▼「天災が起こし、思わぬ爆発が広げ、怒りっぽい首相がこじらせた悲劇」とでも総括したいらしい。誰よりも事故の近くにいた東電である。真実に迫れるはずなのに自己弁護に熱心なのは、被告人の陳述と思えば合点がいく▼会社は被災者に、役員陣は株主から訴えられている。「正直」すぎては裁判に障るし、下手に責任を認めると税金で助けてもらえないとの腹だろう。
2012.06.24 Sun l 原発事故 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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